田村長官、「外国人実習制度」の活用に前向き、支援の意向も

  • 2016年8月21日

観光庁長官の田村氏  観光庁長官の田村明比古氏は8月17日の業界誌向け会見で、訪日外国人旅行者の受入環境の整備に向けた「外国人技能実習制度」の活用について、前向きな考えを示した。同制度は国際研修協力機構(JITCO)が開発途上国の支援を目的に、海外の人材を一定期間、国内企業などに受け入れるもの。今年4月時点で農業や漁業、建築業、製造業など74職種が対象となっているが、観光関係は含まれていない。

 田村氏は、宿泊業者などが訪日客の獲得に向け、語学力に長けた労働者を確保すべく制度の活用を要望していることについて、「要望があることは承知している」とコメント。その上で「制度は単純に労働要員を増やすためのものではなく、開発途上国の経済発展・産業振興のための人材を育成するもので、宿泊施設側もスキームの構築が必要になる」と釘を差した。一方で制度を有効活用する際には、観光庁として「受入側の体制整備を支援したい」と意欲を見せた。

 なお、観光産業における人材確保については「働くために魅力的な業界になる必要がある」とも強調。生産性の向上や、女性や高齢者なども働ける環境作りに向けて、「予算・融資・税制面などさまざまな取り組みを検討し、関係省庁と連携して支援したい」と語った。

 そのほかには、政府が新たな経済対策で年内に策定する方針を示した「観光インフラ整備プログラム(仮称)」にも言及し、「『観光ビジョン』の目標の早期実現に向けて各省庁が連携し、整合性をもって計画を実施するためのもの」と説明。今後は内閣官房と観光庁が中心となり、経済対策に盛り込まれた項目に沿ったプログラムを取りまとめるという。

 震災後の九州旅行需要については「7月中旬以降、昨年よりも予約数が増加したという宿泊施設が増えている」と説明し、「九州における旅行需要は回復に向かっているのでは」との見方を示した。また、販売開始から1ヶ月半が経過した「九州ふっこう割」の利用商品についても好調であることを伝え、「今のところ我々の意図した方向に進んでいる。今後も次の手を考えていきたい」と述べた。