国交省、宿泊施設の容積率を1.5倍に、客室不足の解消めざす

  • 2016年6月14日

 国土交通省は6月13日、宿泊施設の客室増を目的とした容積率緩和制度を創設し、地方公共団体に対して都市計画への制度運用をはかるよう通知した。今年3月末に政府が策定した中長期ビジョン「明日の日本を支える観光ビジョン」に盛り込まれた、宿泊施設の整備促進に向けた取り組みとして実施するもので、訪日外国人旅行者の急増にともなう宿泊施設不足の解消をめざす。

 新制度では、敷地面積に対する建築物の延床面積の割合を示す容積率を、最大で現行の1.5倍まで緩和できるようにした。例えば、現在容積率が400%と定められている地域に、建物全体をホテルとして利用する建築物を建てる場合、容積率は600%に増加。5割をホテル、残りの5割をホテル以外の施設として利用する建築物を建てる場合には、ホテル部分の容積率は200%の1.5倍の500%に増加するなど、より部屋数の多い高層ホテルの建設が可能となる。

 ただし、上乗せできるのは300%までとしており、容積率が1000%の地域に全てをホテルとして利用する建築物を建てる場合には、容積率は1500%ではなく1300%になる。

 この緩和により、新築や増改築、物件の用途変更など、規模に関わらず多様な宿泊施設の供給が可能になる。また、制度には建築物の高さ制限や、駐車場附置義務などについても柔軟に対応できる旨も記載した。同省は各地方整備局などに制度の運用に関する相談窓口を設置している。