現地レポート:MSCクルーズ、ひと味違う欧州の船旅
地中海最大手のMSCクルーズに体験乗船
欧州らしいスマートカジュアルな雰囲気でMICEの可能性も
MICEで新たなアプローチ
非日常の場であり、船の中の限られた空間に食事、エンターテイメント、ホスピタリティの要素が詰まったクルーズとMICEの相性の良さは、以前から知られているところ。MSCクルーズでもMICEに力を入れている。
「ラウンジにも照明や音響を備えているので、小さなイベントにも本格的な演出ができる」。営業部長の区祥誠氏の案内に従ってMICE目線で船内を見ると、各施設の対応力の高さがわかる。MSCクルーズでは各国のMICE、とりわけインセンティブの実績が多く、現場のオペレーションなど受入れは慣れているという。
また、日程にも配慮して乗船区間や日本人乗務員、料理の内容、日本語の船内新聞やメニューなどのアレンジにも対応。20人程度の小グループから、客船をまるごとチャーターする大型グループまで対応でき、すべて1ケ所で手配できる利便性もアピールする。
区氏によると、日本人には「船の中にある船」をコンセプトにした「ヨットクラブ」が人気。「MSCプレチオーサ」など、13万トンクラスの大型客船4隻に設けた上級クラス専用エリアだ。各客室にバトラーが付き、専用ラウンジやレストラン、スパを利用できる特別感もある。約70のキャビン数はヨットクラブのチャーターという利用もしやすい。
このほか「大型客船」「新造船」もMICEで響くキーワード。しかし、区氏はそれ以外の客船にもメリットがあると説明する。例えば小型船にはエーゲ海の小さな島々を巡るクルーズなど、大型船では寄港しにくいユニークなデスティネーションを訪れるコースが設定されている。また、ヨットクラブがない客船でも、「部屋をスイート対応にすることで、同じような満足度を提供できる」など、工夫次第で代わりの魅力を創出できるという。
MSCクルーズでは旅行会社のみならず、オーガナイザーに直接、“クルーズでMICE”の周知に努めている。オーガナイザーはクルーズでMICEができることがあまり知られていないため、インセンティブ用のブローシャーを制作した。説明すると、良い反応が得られるという。最近では大手メーカーが、社員研修の場としてクルーズを利用することも発表されている。クルーズのMICEに新たな展開を期待したい。
取材:山田紀子