別府市長、夏までの回復めざす、クーポンも活用
別府市長の長野恭紘氏は5月20日、本誌の取材に応じ、熊本地震による影響を夏までに払拭したい考えを語った。大分県の調べでは、4月29日から5月8日までのゴールデンウィーク期間中に、県内の主要な観光施設29軒で入場者数が前年比47.4%減となったほか、宿泊客も主要48施設で35.3%減となったところ。別府市のみでも、18の宿泊施設の合計で宿泊客が34.2%減の3万3323人と大きく前年を下回った。
長野氏によると、別府市旅館ホテル組合連合会に加盟する112軒のうち111軒が現在通常営業を続けており、交通インフラでも、湯布院との間をつなぐ高速道路が不通となっていたが5月9日に通行可能となった。
しかし、旅行者の反応はゴールデンウィーク前に「キャンセルが嵐のように来る」状態となり、宿泊施設によって状況が異なるものの大きな影響が発生。特に、大型宿泊施設では知名度の高さや割引などの早めの対策が奏功した部分はあったが、中小規模の施設では減少幅が大きくなったという。
これに対して、別府市としては「元気に営業していることを伝える」ことを目的にゴールデンウィーク中に大分合同新聞で15段の広告を4回掲載。これがソーシャルメディアなどで拡散され、県内や市内からの消費を一定程度押し上げる効果があったという。また、6月以降も西日本新聞への出稿や、博多駅や西鉄バス停留所などでの交通広告の展開を準備している。
さらに、夏に向けて「夏の宵まつり」「亀川夏まつり」「浜脇薬師まつり」などの祭事をフックとした誘客にも取り組む。長野氏は、「祭りはそもそも地域の人々のもので、今回の地震で結束した心をさらに強く結びつけられる」と期待しており、市外からの集客効果も見込んで強化していくという。
このほか、九州7県と九州観光推進機構が発行をめざしている旅行クーポンの効果にも期待。さらに、市としても独自で「プレミアム商品券」のような仕組みで飲食関連の需要喚起を計画中で、7月頃から提供を開始したい考えを示した。
なお、長野氏は本誌読者へのメッセージとして、「(地震で)揺れているのは事実だが営業には支障がなく、来ていただいた方々の安全面の対策は、行政と民間観光施設それぞれで十分に配慮し準備している」と強調。その上で、「来ていただけることが一番の支援。まだまだお値打ち感もあるはずで、これを機にぜひ足をお運びください」と呼びかけた。