南アで見本市「INDABA」開催-中小事業者に焦点
(ダーバン発 特派:平山喜代江) 南アフリカ共和国のダーバンで5月7日から9日まで、アフリカ大陸最大の観光見本市「ツーリズムINDABA(インダバ)2016」が開催されている。今回はアフリカの18ヶ国・地域から旅行業関連業者1047社が出展し、各国からバイヤーが1856社、メディアが724人参加。このうち日本からはメディアを含む14社が参加した。開会式にはナミビア、セイシェル、ジンバブエなどアフリカ各国の観光大臣らが出席した。
南アフリカ共和国観光大臣のデレク・ハネコム氏は開会式で、「INDABAはアフリカとしてのブランドを築く機会」と説明した上で、「大自然と野生動物、地球の神秘や人類発祥に関わる世界遺産、人間性追求のストーリーは比類なきもの」と語り、アフリカ共通の魅力の訴求と各国の協力体制の強化を訴えた。また、観光への投資がアフリカの経済発展の鍵となり、アフリカ観光が世界中から注目されている旨を説明。ソーシャルメディアなどで口コミがすぐに広がるなか「観光客に好印象を与える配慮が必要」とコメントした。
このほか、15年は同国への訪問者数が減少したものの「16年は回復の兆候が表れており、飛躍の年になるはず」との見込みを示した。南アフリカ観光局によれば、15年のトランジット旅客を除く日本人訪問者数は、アフリカ西部でのエボラ出血熱の拡大の風評被害などにより26.5%減の2万202人。しかし今年1月については、前年比110%増の2579人と大きな回復を見せている。
今回は「旅行ビジネス最前線に立つ」をテーマに、INDABAとしては初めて中小規模の事業者である「SMMEs」に焦点を当てた。SMMEs は「Small, Medium and Micro-sized Enterprises」の略称で、年間売上が4500万ランド(約3億2400万円)以下の事業者。南アフリカ共和国政府は旅行業のSMMEsへの支援を表明しており、会場では「ヒドゥン・ジェム・ゾーン」として専用商談スペースが設けられ、同国の70社が素材やサービスを紹介した。ダーバン市長のジェームズ・ンマロ氏は「実際にSMMEsのツアーオペレーターとタウンシップ(旧黒人居住区)や市内の観光ツアーを造成しており、SMMEsと協働することでダーバンツアーの可能性を広げる」と期待を示した。
開会式の後には、CNNのプレゼンターであるリチャード・クエスト氏をMCに、パネルディスカッション「メディアトーク」を実施。ハネコム氏や観光副大臣のトコジレ・カーサ氏がパネリストとして加わり、「観光業による経済成長」をテーマに、アフリカ全体のブランディングや大陸間の移動、治安の風評など、アフリカの旅行業が直面している問題について議論を交わした。