【九州地震】JATA、風評被害防止へ始動、「正確な情報発信を」
日本旅行業協会(JATA)は4月21日の定例会見で、14日夜から熊本などで発生している一連の地震に対して、風評被害の拡大防止に向けた取り組みをおこなう方針を示した。JATA国内・訪日旅行推進部長の興津泰則氏は「会員会社からは、被害が大きいのは熊本と大分のみと聞いており、九州全体が危ない訳ではない」と強調。ただし「まだ余震も続いており安全とは言い切れない。JATAとしても引き続き情報を仕入れている」と状況を説明した。
興津氏によると、JATAでは現在、会員会社のツアーのキャンセル状況などを調査しているところ。熊本や大分に関しては鉄道や道路が機能していないため「観光ができる状態ではない」ものの、断層のある地域以外は特に被害は出ていないという。キャンセル数については現在も更新されているため公表はしなかったが、「熊本や大分だけでなく、被害のない地域でも多く発生している」と話した。
JATA理事長の中村達朗氏も「正確な情報発信が必要」と強調し、国土交通省に対して被害状況や交通機関などに関する正確な情報を消費者に発信するよう要請したことを報告。「東日本大震災の時も、影響のほとんどなかった地域にまで風評被害が及んだ。今回は最小限に留められるように取り組みたい」と語った。具体的な施策については、現在検討しているという。
被災地に対する取り組みについては、興津氏が「被害状況をきちんと把握し、旅行業界に有利な情報ではなく、被災地を最優先に考えた正確な情報発信をしていく」と方針を説明。被災地の状況が落ち着けば、ボランティアツアーなども実施していきたいという。
ただしボランティアツアーについては、「東日本大震災の発生後に募集した際には『旅行業界は震災をビジネスにつなげるのか』などの声も聞かれた。そう捉えられないようにするために考慮しなければならない点はある」と説明。その上で「ビジネスとしてでなく本当のサポートをおこないたい」と強調した。