香港、16年は115万人目標に、商品造成への出資も
香港政府観光局(HKTB)はこのほど、旅行会社などを対象とした「感謝の夕べ」を開催した。本誌のインタビューに応えたHKTB日本局長の堀和典氏は、日本支局が今年で開設50周年を迎えることから、2016年を「勝負の年」と位置づける考えを示すとともに、日本人訪問者数の目標については「15年から2桁増の115万人以上をめざす」と語った。
HKTBによると、15年の香港への日本人訪問者数は2.7%減の104万9272人。14年11月以降、15年8月までは毎月前年を下回っていたが、昨年9月以降は増加に転じ、16年1月は11.3%増の9万1340人となった。堀氏は中国の経済成長の鈍化に伴う訪日中国人旅行者増の減速や、LCCなどの中国路線の増便により、航空座席数に余裕が出てきたことが背景にあると説明。今年に入ってからの円高傾向も要因として挙げた。
16年度は業界に対し、開局50周年記念プロジェクトとして「50/50マッチングファンド」を開始する。5月中旬から6月にかけてのオフシーズンの需要喚起と集客を目的とするもので、独自性のある旅行商品やイベントなどの企画を通年で募集する。同プロジェクトでは、企画の実現にかかる資金の全額を、HKTBと応募者がそれぞれ折半して拠出。4月半ばから商品の開発や販売、メディアを通じたプロモーションなどを展開する予定だ。
プロジェクトでは応募の条件などは特に設けておらず、香港の認知度向上や送客につながる企画であれば自治体や複数の企業からなる共同体なども応募できる。
そのほかには全国の主要都市で旅行会社や自治体向けのセミナーやイベントを実施し、商品企画担当者や販売店舗向けにはFAMツアーも実施。5月23日、25日、27日にはそれぞれ大阪、名古屋、東京でワークショップもおこなう。また、15年度からの「アガる香港キャンペーン」も引き続き展開。香港の街歩きを通して文化や食を訴求する。
消費者向けのマーケティング活動では、16年度のターゲットを20代後半から40代までの女性に設定。テレビや雑誌、ウェブサイトなどの媒体を活用し、食と文化について「お得でまだ知られていない情報」の発信を強化する。具体的には地元のグルメや、ワンコインで楽しめるミシュランガイド掲載レストラン、香港島の北岸に位置する中環の再開発エリアなどをアピールするという。
また、フリーライターや写真家などとして活躍する香港好きの旅行者5人をインフルエンサーとして活用し、「超級香港迷(スーパーホンコンマイ)プロジェクト」を始動。6月から8月にかけてはソーシャルメディアを利用した口コミ投稿キャンペーンもおこなう。