TCSA、16年度は訪日向け人材の育成強化、法改正にも対応
日本添乗サービス協会(TCSA)はこのほど、2016年度の通常総会を開催し、15年度の活動報告と16年度の活動計画を承認した。16年度は引き続き、訪日旅行向け人材の育成のための検定制度の構築や、労働者派遣制度改正に関わる事業に取り組むとともに、4月1日から施行される障害者差別解消法への対応などに取り組む。
TCSA会長の山田隆英氏は総会終了後の会見で、3月26日の北海道新幹線の開業や、4月からの燃油サーチャージの撤廃および引き下げ、8月のリオデジャネイロオリンピックなどに言及し、「明るいニュースがたくさんあるので、より多くの人に(国内外で)旅行をしてもらいたい」と述べた。一方、各国で発生するテロ事件や災害などについて「以前にも増して、旅の安心・安全を守る添乗員の高度な技術が求められる」と語り、人材育成の重要性を改めて強調した。
TCSA専務理事の三橋滋子氏は16年度の事業計画の重点項目について説明した。訪日旅行向け人材育成のための検定制度の構築については、TCSA会員など10名で専門委員会と作業部会を設置し「語学能力」「旅程管理能力」「おもてなしスキル」の3つの能力を問う検定制度を創設する。1級から3級までの3クラスを設け、今秋を目途に試行的な試験の実施を予定していることを明らかにした。今後は問題やテキストの作成を進める予定で、三橋氏は「将来的には国家資格にまでレベルを上げていきたい」と意欲を示した。
労働者派遣制度改正に関わる事業では、短期派遣の繰り返しなどの防止に向けて昨年9月に労働者派遣法が改正されたことなどを受け、昨年に日本旅行業協会(JATA)との協議の上で作成したガイドラインの周知徹底をはかる。また、TCSAでは4月から施行される「障害者差別解消法」への対応策についてもJATAと協議の上でガイラドラインを定めており、今後はともに会員会社への周知徹底をはかる。
そのほかには派遣スタッフのスキルアップに向けて、eラーニングを活用した8時間相当の研修メニューを、会員各社に提供する。