JATA合同インターンで学生に密着-今年は25社で研修実施
1クール目は名鉄観光で営業同行
飛込営業で「ご縁」の大切さを実感
3日目以降は、JATAから指定された旅行会社2社で、それぞれ3日間ずつ研修を実施。関沢さんは1クール目に名鉄観光、2クール目にJTBグローバルマーケティング&トラベル(JTBGMT)で研修をおこなった。
名鉄観光では、1日目の午前には営業本部で旅行業界と同社に関する講義を受け、午後から3日目の午前までは横浜支店で営業同行などを体験。横浜支店では既存顧客への営業に加えて、新規の飛込営業にも同行したという。
関沢さんによると「門前払いされたところもあったが、名刺を受け取ってもらえた1社からは見積り依頼があった」とのこと。「その企業からは『ちょうど良いタイミングで声をかけてくれたから頼んだ』と言われ、営業における『ご縁の大切』さを感じた」という。
3日目の午後には、同じく1クール目に名鉄観光で研修をおこなった4名の学生が集まり、同社関東営業本部副本部長兼営業管理部長の石川勉氏と、関東営業本部営業管理部副部長の能勢克介氏と一緒に、研修内容を振り返った。学生からは「実際にお客様と関わるのはカウンターだけだと思っていた。営業や電話応対などを体験できておもしろかった」「営業では幅広い知識が必要と感じた。セールストークでも言葉遣いやビジネス用語が難しかった」などの声が挙がった。
石川氏と能勢氏によると、同社がJATAの合同インターンシップを通じて学生を受け入れるのは今回が初めて。両氏はインターンシップの利点について「学生のイメージと、実際の旅行会社の間にあるギャップを埋めることができる」と説明した。学生に対しては「営業は断られてからがスタート。名刺を捨てられることは多くあるが、めげずに頑張ることが大事」とメッセージを送った。
2クール目はJTBGMTで沖縄ツアー企画
独自の特典を盛り込んだ商品を提案
2クール目のJTBGMTでは、1日目にJTBグループと同社に関する講義を受講。2日目にはJTBGMTが展開する訪日外国人旅行者向け観光ツアー「サンライズツアー」と浜松町営業所を見学し、3日目には関東発の沖縄ツアー商品の企画をおこなった。
企画する商品の設定は、旅行期間が6月10日の金曜日から12日の日曜日までの3日間で、旅行者は夫婦と子供2名の4人家族。JTBGMT企画総務部人事課人事担当課長の岩波達弥氏は「訪日旅行は国内旅行の延長。まずは身近な国内旅行を企画してもらおうと思った」と課題の趣旨を説明した。
課題に対して関沢さんは「お得に楽しむ。のんびり、快適、ラグジュアルな沖縄の旅。」と題した商品を企画。レストランの朝食席の事前予約を受け付ける「らくらくホテル朝食プラン」など、JTBならではの特典を多く組み込んだ。そのほかの学生は石垣島での観光を取り入れた「これからもそばに… 石垣島で過ごすFamily Tour」や、家族で過ごす時間に重きを置いた「家族で満喫する沖縄☆2016」などを企画した。
学生が提案した企画に対し、岩波氏は「ツアーを企画する際は、お客様の『○○がしたい』という『課題』を解決させることと、『目的』を達成させることが重要」と説明。また、「ターゲットがどのような層かを考え、その人に向けてどう売るかをきちんと考えることも大切」とアドバイスした。
岩波氏はインターンシップについて「旅行業に興味を持ってもらうきっかけになる」と述べ、良い人材に旅行業界へ就職してもらう可能性にもつながるとの見方を示した。求める人材像としては「『英語ができるから採用してほしい』という学生もいるが、その英語を活かしてさらに成長しようとする『自律創造型社員』になりうる方に来ていただきたい」と強調。JTBグループでは新しい情報やスキルを継続的に習得し、自己成長を惜しまない「自律創造型社員」の育成に力を入れているという。