地方創生の推進力-日本版DMO(5) 基盤は地域住民参加型
また国内では、和歌山県の田辺市熊野ツーリストビューローについて紹介した。高橋さん自身も理事を務めている。
「何のために観光をやるのか」議論を
「DMO=着地型旅行業ではありません。彼らがやってきたことはコミュニティ・ベースド・ツーリズム。住民参加型でビジョンを作り、インフラを整備し、ブランディング、マーケティング、セールスを行うよう仕立て上げていったことです。地域住民とのワークショップを積極的に行い受入態勢も整っていった」
自前の予約システムも備え、その結果が東日本大震災と紀伊半島豪雨が重なった2011年に現れた。大手旅行会社は一斉に送客を控え、大幅な落ち込みが予想された中で外国人観光客は前年の3割以上増えた。地域コミュニティを基盤にしたツーリズムこそ日本版DMOと高橋さんは示唆した。
さらにパネルディスカッションで、DMOに必要な人材を「ビジネスをちゃんと自分で組み立てられる人」(真野さん)、体制づくりについては「行政、観光協会など地域ごとに機能分析表を作ること」(大社さん)。どの組織に何人いて、どのぐらいの予算、何をしているのかを見える化することを求めた。
新型交付金の対象としてDMOが対象になると明らかになり注目を集めることになったが、高橋さんはこう釘を刺した。「一足飛びにDMOの事業計画をしても議論が進んでいかない。この地域は何のために観光をやるのか。そして、どのように大きく伸ばし産業化していくのか。こういうところの議論をしっかりすることが次につながる」。
(16/03/08)
情報提供:トラベルニュース社