航空会社と旅行会社の連携で海外旅行復活へ-JATA経営フォーラム
デスティネーションの共同開発など
新たな企画で継続的な需要喚起を
訪日旅行市場が急拡大し、グローバル競争がますます厳しさを増すなか、旅行会社にとって航空座席の仕入環境は大きく変化してきている。そのなかで、日本の航空会社と旅行会社の関係はどうあるべきか。日本旅行業協会(JATA)が2月22日に開催した「JATA経営フォーラム2016」の分科会A「航空会社との新たな連携の在り方と課題」では、両者の代表が議論を展開した。
日本旅行業協会理事・事務局長 越智良典氏
パネリスト
JTBグループ本社執行役員旅行事業本部副本部長 伊藤智氏
全日空常務取締役執行役員営業部門統括 志岐隆史氏
日本航空執行役員旅客販売統括本部副本部長 二宮秀生氏
全日空は国際線リゾート、日本航空は質の向上を重視
分科会では、まずモデレーターを務めるJATA理事・事務局長の越智良典氏が、日本の航空業界を取り巻く環境について「アジアの旅行市場が拡大していくなかで、首都圏空港の発着枠が拡大され、国としてはアジアからのインバウンドと、アジア/北米間の乗り継ぎの強化をはかっている」と説明。そのほか、NHやJLなどによる2016年4月分と5月分の燃油サーチャージの廃止や、為替相場の安定などで外部環境も好転しているものの、「アウトバウンドでは課題も多い」と指摘した。これを受け、全日空(NH)常務取締役執行役員営業部門統括の志岐隆史氏は、先ごろ策定したANAホールディングスの中期経営戦略について説明。国際線とLCCの事業に力を入れていく方針を示した。国際線については、「ビジネス需要をメインターゲットとするが、リゾート方面のビジネスをしっかり検討していく」と話し、新たに発注したエアバスA380型機3機をホノルル線に投入する戦略を紹介。A380型機については、「エコノミークラスに加えてファーストクラス、ビジネスクラス、プレミアムエコノミーも配置したい」との方針を示し、新たな需要創出にも取り組んでいく姿勢を表した。
LCCのバニラエア(JW)については、「当初はFSCとのカニバリゼーションが心配されたが、役割がはっきりしてきた」と話し、今後はフルサービスキャリアでは開設が難しいリゾート路線への展開を進めていくとした。
日本航空(JL)執行役員旅客販売統括本部副本部長の二宮秀生氏は、「量より質を重視し、質の向上を柱にすえる」と経営方針を説明。そのなかで、国際線ではアジア/北米間の需要の取り込みに力を入れるとともに、「旅客の外国人比率を現在の約35%からさらに増やしていきたい」と話した。また、今後に策定する新たな中期経営計画でも質を重視する方向性は変わらないとし、その先駆けとして今年から羽田/ホノルル線にプレミアムエコノミークラスを導入したことを紹介した。