国交省、バス事故検討委が初会合-緊急監査で半数が違反
国土交通省は、1月15日に軽井沢で発生したスキーバス事故を受けて立ち上げた「軽井沢スキーバス事故対策検討委員会」の第1回会合を29日に開催した。再発防止徹底に向けた方策について検討する会議体で、日本バス協会、日本旅行業協会(JATA)、全国旅行業協会(ANTA)、消費者団体の代表や、大学教授などで構成する。
この日は事故の概要について振り返ったほか、貸切バス事業者の構造的問題などについて論点を整理。2月9日の第2回会合以降は、事業参入後の安全確保についての確認の強化、旅行業者を含めた安全確保のための対策、運転者の運転技術の確認の強化、バスの衝突被害軽減ブレーキなどハード面での安全対策などについて議論し、3月下旬に開催する第7回会合で中間取りまとめを実施する。速やかに実施可能な施策については順次開始する予定。4月以降も関係者との調整などを進めながら検討を続け、夏までに総合的な対策について取りまとめをおこなう。
そのほか、今回の事故ではバス会社が国の基準を下回る価格で受注していたことを受け、旅行会社の下請けとなるバス会社が、適正価格で受注できる仕組みについても議論検討する。また、基準を守っていてもバス会社が旅行会社に手数料を支払うことで、実質的に「下限割れ」となるケースについても検討を進める。
委員長を務める一橋大学大学院教授の山内弘隆氏は、会合の終了後に記者団の取材に応え、現行の安全対策や適正価格の設定が守られていないことに大きな問題があると指摘。「乗客にシートベルト着用を求めることなどは明日からでも遵守できる」と述べ、速やかに実施可能なものから取り組みを進めるべきとした。15人が死亡した今回の事故では、多くの乗客がシートベルトを着用していなかったと見られている。
この日の会合ではそのほか、国土交通省が28日までに12の都府県で実施した、貸切バスに対する街頭での抜き打ち監査の結果も報告。それによると、88台のうち42台について運行指示書の記載不備などの法令違反が見つかったという。同省は貸切バス事業者を対象とした立ち入り監査もおこなっており、スキーシーズンの3月中旬までに約100事業者に対して実施する予定。