現地レポート:韓国・江原道、新作ドラマを機に観光促進
「チャングムの誓い」の人気女優が復帰
ロケ地観光や平昌五輪で高まる期待
韓国文化に触れるロケ地巡り、料理や菓子の魅力も
「師任堂」のロケ地の1つが、江陵にある申師任堂の生家「烏竹軒(オジュッコン)」。1450年から1500年頃に建てられた歴史的建造物として大切に保存されている。黒竹が茂っていたことから、その名がついた。その「烏竹軒」では、現代の大学講師を演じるイ・ヨンエと朝鮮王朝時代の貴族である両班(ヤンバン)の天才画家を演じるソン・スンホンの撮影現場を公開。韓国内外のメディアのほか、日本から訪れた熱心なファンも2人の演技に見入った。
撮影は、江原道の各地でおこなわれる予定だ。京畿道(キョンギド)の龍仁(ヨンイン)にある「韓国民族村」もその1つ。ここは、朝鮮王朝時代の伝統文化を紹介するテーマパークだが、その古式ゆかしい家屋と雰囲気が再現されていることから、映画やドラマの時代劇の撮影で多く利用されているという。仁川やソウルからも近いことから、韓国の歴史に気軽に触れられる観光スポットとして、日本人をはじめとする外国人観光客にも人気の場所だ。
現在と過去がクロスオーバーする「師任堂」は、全体の約10%が現代で展開する。そのロケ地として予定されているのが、ソウル近郊の楊平(ヤンピョン)にある「The Greem」。瀟洒な建物と美しい庭園が広がるこの場所は、もともと別荘だったが、韓流ドラマでのロケ地としてたびたび利用されたことから、屋外スタジオとなった。これまでに50作品以上のドラマのロケ地となったという。数年前からは一般公開も開始。韓流ドラマファンの間では「聖地」になっている。園内にはカフェも併設され、運が良ければ、撮影現場も見学できるようだ。
また、地方を旅するなかで、その土地の食を楽しむローカル体験は欠かせない。今回のツアーでは、江陵地方に伝わる素朴な郷土料理が楽しめる「ソジチョガットゥル」に立ち寄った。山裾の田園風景が広がる牧歌的な場所に立つ民家レストランは、それだけでフォトジェニック。韓国料理といえば辛いイメージが強いが、採れたての野菜や山菜など、素材の味を生かした料理が並ぶ。ここには、かつてペ・ヨンジュンがフォトエッセイ「韓国の美をたどる旅」の撮影で訪れたこともある。知る人ぞ知る隠れ家レストランとして、ソウルなどからわざわざ足を運ぶ人も多い。
江陵にある1870年創業の老舗「カルゴル韓菓」の韓菓体験展示館では、伝統菓子作りを体験した。その昔、江陵には儒学者が多く、儀式も頻繁におこなわれていたことから、その際に使われる韓菓(ハングァ)という菓子が発達した。現在は6代目が伝統の味と製法を後世に伝えている。
体験では、伝統茶のお茶うけとして出されることが多い「油菓(ユグァ)」を作ってみた。素材は発酵させた米を餅状にして乾燥させたもの。それを油で揚げたあと、シロップを絡ませ、もち米のまぶし粉やゴマなどをまぶす。サクッとした食感で、甘みもやさしい。韓国の伝統と味を受け継ぐお土産としても人気となっているようだ。