中欧6観光局などが共同セミナー、各国の安全性を強調
中央ヨーロッパの6つの観光局とオーストリア航空(OS)は先ごろ、旅行会社を対象に各デスティネーションの最新情報を提供する「中央ヨーロッパセミナー2015」を開催した。幹事国として冒頭に挨拶した、チェコ共和国駐日特命全権大使のトマーシュ・ドゥプ氏は、近年ヨーロッパを脅かしているテロ事件などについて言及し、「安全性の問題などで情勢が大きく変わってきたことは認めざるを得ない」としながらも、「これを機に、ヨーロッパ内でも比較的安全な中欧や北欧に目を向けていただきたい」と訴えた。
セミナーではチェコ政府観光局局長の吉田清宣氏が、英国の経済平和研究所が毎年発表している世界平和度指数で、今年のランキングの10位に同国がランクインした旨を説明し、「テロや難民の問題が盛んに取り上げられているが、チェコは平和」と強調した。また、「パブで500ミリリットルのビールとランチを注文しても500円かからない。お金の使い方次第で色々なことが楽しめる」と物価の安さもアピール。世界遺産や温泉、オペラなどのさまざまな観光素材を提案し、「現在の日本人旅行者の平均滞在日数である2泊3日を3泊4日にし、できるだけ長く滞在してもらいたい」と述べた。さらに雑貨や名産品のガーネット、ボヘミアングラスなどを紹介し、買い物をフックに若者にも訴求したい考えを示した。
ハンガリー政府観光局日本代表の勝田基嗣氏も安全性をアピールし、「シリア難民などについてブタペスト東駅での混乱や国際列車の運行停止などが報道されたが、2週間弱ですべて収まった」として、すでに国内が平静な状態に戻っていることを強調した。同局によれば、ハンガリーの14年の日本人宿泊数は14万泊で、平均宿泊日数は2.2泊。しかし、そのうち86.6%はブタペストでの宿泊が占めていることから、同氏は今後は日本旅行業協会(JATA)などが展開する「Team EUROPE」の「ヨーロッパの美しい村30選」に選ばれたショプロンをはじめ、エゲルやペーチなどの地方都市への送客に注力したいとした。
オーストリアのインスブルック市観光局とザルツブルグ市観光局の局長を務めるモラス彩子氏は、インスブルック市について「ウィンタースポーツが有名でスキーなどが気軽にできるが、夏も楽しめる」と語り、毎年夏に開催される野外コンサートや音楽祭、大人から子供まで楽しめるタイヤ付きのソリ「マウンテンカート」などのアクティビティを紹介した。ザルツブルグ市については、1997年に「ザルツブルグ市街の歴史地区」としてユネスコの世界文化遺産に登録されたことや、モーツァルトや「サウンド・オブ・ミュージック」などに縁があることなどを説明。歴史や音楽を見どころとして挙げた。
そのほか、スロヴァキア共和国大使館1等書記官のブラニスラヴ・ポハバ氏は、ユネスコの世界文化遺産に登録されたレヴォチャなどの歴史的な街や、自然遺産に登録されているカルパチア山脈のブナ原生林などを紹介。スロヴェニア政府観光局日本オフィス代表の茂石チュック・ミリアム氏は、欧州委員会が高い環境水準を達成した都市に授与する「欧州グリーン首都賞」の16年の受賞都市として首都のリュブリャナを選出したことを説明。「世界から最先端の都市として注目されている」とアピールしたほか、世界文化遺産に登録されたイドリアの水銀鉱山など歴史的な観光素材も紹介した。