トップインタビュー:Airbnb Japan代表取締役の田邉泰之氏
民泊のメリットは高い経済効果、地方誘客も
早急な法整備が課題、旅館などとの協業検討
訪日外国人の増加などを受け、自宅の一部やマンションなどの空き室を活用して宿泊サービスを提供する「民泊」への注目が高まっている。東京都大田区などで特区制度を活用した民泊の実現に向けた動きがある一方、利用者の安全の確保、法制度の整備や近隣住民とのトラブル防止などの課題が挙がっている。観光庁や厚生労働省の主導で「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」が開催されるなど、ルール作りに向けた取り組みが進むなか、民泊の先駆者ともいうべきAirbnb Japan代表取締役の田邉泰之氏に、改めて同社の取り組みや今後の法整備に対する考えを聞いた。
-Airbnbの市場規模を教えて下さい
田邉泰之氏(敬称略) Airbnbは民泊のプラットフォームとして、190ヶ国の3万4000以上の都市で、約200万件の宿泊施設を取り扱っている。今年の夏のピークには1晩で約100万件の宿泊を提供した。提供する宿泊施設は一軒家から城、船、ツリーハウスなどさまざまで、面白い物件が沢山ある。
日本の物件数は12月1日現在で約2万3000件となっており、前年比で約3倍以上のペースで増加している。物件は東京、大阪、京都の3都市に多く、需要も高いが、地方都市でも増えてきている。日本国内でAirbnbの物件に宿泊する訪日外国人は前年から529%伸びた。稼働率については開示していないが、物件が不足しているので高い状況だ。
Airbnbを活用して地方を訪れる訪日外国人もいる。我々を通して地方の魅力を知ってもらい、国に帰ってから魅力をさらに伝えるとともに、地方に再訪してもらいたい。最初からすごいインパクトを与えられるとは思っていないが、地道に取り組んでいきたいと思っている。
また、我々の宿泊者(ゲスト)は、「宿泊」よりも地元の人々の暮らしなどを「体験」することを求めるケースが多い。Airbnbで宿泊費を節約した分、宿泊地域での消費を増やす傾向にある。宿泊費を1とすると、その3倍以上の金額をショッピングに費やしており、地域への経済効果がある。また、早稲田大学ビジネススクールと協力して実施した調査では、2014年7月から15年6月までの1年間について、日本国内でAirbnbの利用により2219億9000万円の経済効果があったとの試算が出ている。