観光庁、11月中に民泊問題の検討開始、年度内にも方向性
観光庁長官の田村明比古氏は11月18日に開催した業界誌向けの定例会見で、国内での民泊を取り巻く諸問題への対応について検討するための有識者会議を、今月中にも立ち上げることを明らかにした。観光庁と厚生労働省が共同で事務局を務める。
田村氏は、訪日外国人旅行者の宿泊需要が大都市に集中し、供給が逼迫している現在の状況を踏まえて「民泊は有力な選択肢の1つになる」と説明。有識者会議での議論については「多くの論点や課題に対して、年度内にも、良い解決策やルールの方向性を出したい」と述べた。日程や委員の構成などについては、追って発表するとした。
その一方で、旅館や大都市圏以外のホテルなどでは、まだまだ客室数に余裕がある状況についても言及。訪日外国人旅行者への情報提供を今後も強化したい旨を説明した。そのほか、客室数増に向けた投資の促進の必要性についても述べた。
民泊については、2014年4月に旅館業法の適用を除外する国家戦略特別区域法が施行され、東京の大田区などで実現に向けた取り組みが進んでいるところ。しかし一方では、特区以外の地域で事業をおこなう業者もあり、社会問題化しつつある。日本旅行業協会(JATA)も11日には、旅行会社が民泊を取り扱うための仕組みの整備や、違法民泊に対する取り締まりなどを要望する文書を、観光庁長官宛に提出している。