若手社員が学生に業界の魅力をアピール-ツーリズムEXPOで

  • 2015年10月2日

旅行業界を志望する学生約300名が参加した 日本旅行業協会(JATA)は9月25日、ツーリズムEXPOジャパン2015の会場で、旅行業界を志望する学生を対象にした業界研究セミナーを開催した。同セミナーでは、旅行会社の経営者が仕事の魅力と業界の求める人材をテーマに講演を実施。ベテラン社員による旅行業界の説明や、若手社員たちによるパネルディスカッションもおこなった。会場には約300名の学生が訪れ、そのうち6割強が観光系の学部や学科所属の学生だった。

アルパインツアーサービス取締役会長の黒川惠氏  セミナーでは冒頭、アルパインツアーサービス取締役会長の黒川惠氏が登壇し、観光産業の魅力について語った。黒川氏は同社が扱う登山やハイキングなどのテーマ型企画旅行について「今、1人では行きたくても行けない秘境などへの旅行需要が高まっている。そういったニッチなマーケットにこそ、観光産業が伸びるための大きなポテンシャルが秘められている」とアピール。その上で「大手も立派だが、小さな会社でも産業を伸ばすチャンスは与えられる」と話し、大手から中小まで視野を広く持って企業を選ぶよう参加者に呼びかけた。

 さらに、黒川氏はテーマ型企画旅行はリタイア層が趣味を満喫するための「大人の教育旅行」であり、企画には深い専門知識が必要とされることを指摘。「お客様に負けないプロフェッショナルであることが求められるが、『好きこそものの上手なれ』と言うように、私のような山岳好きが趣味をそのまま仕事にすることができる」と語った。最後に就職活動を進める学生に対するアドバイスとして、「旅行業はお客様のために働いて給料を稼げ、感謝もされる仕事。業界を知り、仕事を好きになれば楽しく働ける」と述べた。

パネルディスカッションの様子 パネルディスカッションでは、i.JTB、近畿日本ツーリスト(KNT)、エヌオーイー(NOE)、日本旅行の若手社員たちが、旅行業界の魅力ややりがいについて意見を述べあった。

 NOE東京営業本部旅客営業部営業2課の山下千尋氏は、入社前のイメージと入社後の仕事のギャップについて言及。「(ビジネストラベルを扱うため)オフィスでパソコンに向かい作業をするばかりの堅い職場だと思っていたが、実際はお客様のもとに出向き、コミュニケーションを取ることができる」と、仕事の多様性をアピールした。

 日本旅行国際旅行事業本部海外営業部豪亜営業課課長の田中祥貴氏は、「形のない旅行商品を扱う仕事は難しい」としながらも、「自分が売りたいと思う商品を企画したり、お客様に合った商品をおすすめできる」ことが旅行業界の魅力であるとした。

 KNT個人旅行オリナス錦糸町営業所の原田優美氏は、1番印象に残っている仕事として海外挙式の手配をした際のエピソードを挙げた。「お客様の人生の1大イベントを担当し、以来、家族旅行などで指名をいただくようになった」と語り、「お客様の人生の節目に旅を通して関われる」と魅力を語った。

 また、i.JTB販売本部JTBホームページ販売部海外商品課の大山麻里絵氏は、国内のホテルの支配人と宿の仕入れに関してやり取りした経験をもとに、仕事のやりがいを語った。最初は部屋を提供してもらえなかったが「足繁く通ったことで徐々に受け入れられ、最後には『大山になら』と言って他社よりも安い宿泊プランを出していただけた」という。その上で、学生に対し「サークル活動など今取り組んでいることと就職活動を両立させ、かつ、やりきること。その姿勢は後々役に立つ」とアドバイスした。