観光庁、免税対象「5000円以上」に拡大要望-会議誘致補助の強化も

  • 2015年8月27日

 観光庁は2016年度の税制改正要望で、訪日外国人旅行者向けの消費税免税制度の拡充と、国際会議誘致のための交付金制度の要件緩和を求める。免税制度については「地方を訪れる外国人旅行者向けの消費税免税制度の拡充」として、一般物品において、最低購入金額の引き下げを要望。現行の総額で「1万円を超えるもの」から「5000円以上」への引き下げを求める。

 同庁によると、地方でよく売れている民芸品や伝統工芸品は、単価が2000円から3000円程度のものが多く、購入金額が1万円に満たないことが多いことから、地方の店舗が免税店の届出申請をためらうケースがあるという。引き下げを要望することで、地方における免税店のさらなる増加と、外国人の消費の活性化をはかる考え。

 加えて、免税手続きの電子情報化など、手続きの簡素化と利用者の利便性向上に向けた要望もおこなう。現行の手続きでは、免税対象物品を販売する際、購入記録表を作成し、パスポートに貼付する必要がある。しかし、大量に免税対象物品を購入する旅行者が増えたことで、旅行者からパスポートが大量の購入記録表で分厚くなるという苦情が挙がっているほか、税関で購入記録表を回収・整理する作業の負担が増大しているという。

 こうした状況を踏まえ、観光庁では旅行者情報や購買情報などを免税店でデータベース化し、税関で電子情報として確認するなど、免税手続きの電子情報化に向けて中長期的に検討を進めたい考え。電子化が難しい店舗もあることから、現行の手続きとの並行利用も検討したいとした。

 また、国際会議誘致のための施策としては、日本政府観光局(JNTO)が提供する、国際会議の開催経費をサポートする「寄附金募集・交付金交付制度」の対象範囲の拡大を要望した。観光庁によると、国際会議は学会などの非営利組織が主催しており、収益性が極めて乏しいため、開催経費は関係者の寄附に頼らざるを得ない状況にあるという。こうしたなかJNTOでは、同制度で国際会議の誘致・開催促進をはかっているところ。同制度では、JNTOが会議主催者に代わって寄附金を募集し、主催者に対し交付金として交付する。JNTOは特定公益増進法人に指定されているため、寄附金は課税優遇措置を受けることができる。

 現在、交付金の対象は、外国人の参加者50人以上、参加国数10ヶ国以上、全参加者数200人以上、開催に要する経費2500万円以上の国際会議で、国際会議協会(ICCA)の統計基準よりも厳しい条件下に置かれている。このため同庁ではICCAの基準に準拠した対象へと、条件の緩和を求める。具体的には、外国人参加者は現行どおり50名とする一方で、参加国数は3ヶ国以上、全参加者数は要件自体を撤廃、開催経費は500万円以上に改正するよう要望する。同庁によると、改正により対象となる会議は現行の約1.9倍まで拡大する見込みだという。