日本航空、1Qは増収大幅増益-訪日増、費用減などで

  • 2015年7月30日

JL取締役専務執行役員の斉藤典和氏(左)  日本航空(JL)の2016年3月期第1四半期(2015年4月1日~6月30日)の連結業績で、営業収益は前年比1.6%増の3120億3500万円となった。営業費用は円安の影響や人件費の増加などがあったものの、燃油安やコスト削減などで4.4%減の2757億円となり、営業利益は94.6%増の362億4400万円とほぼ倍増した。あわせて経常利益は131.7%増の392億3000万円、四半期純利益は120.7%増の326億1000万円となり、第1四半期としては各利益が過去最高となった。

 7月30日に開催した決算発表会見で同社取締役専務執行役員の斉藤典和氏は、営業利益段階において、対計画比で50億円の増収、50億円の費用減を実現したことことを報告。「順調に推移している」としたものの、第1四半期の結果であることから、4月30日に発表した通期業績予想の修正はおこなわなかった旨を説明した。そのほか、純利益についてはボーイングB777機3機の売却益なども寄与したことを説明した。

 国際線の旅客収入は2.1%増の1094億7900万円で、旅客数は8.1%増の200万7367人に。日本発の業務需要が堅調に推移するとともに、旺盛な訪日需要を取り込んだことで大きく旅客数を伸ばした。路線運営面では関空/ソウル(金浦)線の運休などにより、座席供給量を表す有効座席キロ(ASK)を2.4%増とした一方、旅客輸送量を表す有償旅客キロ(RPK)は8.9%増となり、座席利用率は4.6ポイント増の77.9%に上昇。旅客単価は6.2%減の5万4539円、イールドも6.2%減の11.7円となったが、これらの減少は燃油サーチャージ収入の減少に影響されたもので、燃油の影響を除けば増加しているという。ユニットレベニューは0.3%減の9.1円だった。

 路線別では、訪日旅行の需要増により海外発の旅客が22%増加。特に中国線と東南アジア線が大きく伸長し、中国発の利用者は5割増、東南アジア発の利用者は3割増だったという。国際線から国内線への乗り継ぎは全体の2%程度とまだまだ小規模ながら、約2割増加。斉藤氏は上海証券取引所における株価の急落については「懸念はあるものの、予約状況に影響はない」と報告した。

 3月に開通した北陸新幹線の影響を大きく受けた北陸線については、収入が約4割減となった旨を報告。機材の小型化などをおこないASKを27%減に縮小した結果、座席利用率は約5ポイント減の約60%に落ち着いたという。

 75日前まで予約可能な「ウルトラ先得」の新設などを実施した国内線の旅客収入は3.9%増の1099億円で、旅客数は0.3%増の753万8738人。ASKは1.0%減となった一方、RPKは0.1%増となり、座席利用率は0.7ポイント増の63.1%増となった。単価は需要構成の変化や値上げなどにより、3.6%増の1万4578円に。イールドは3.7%増の19.4円、ユニットレベニューは5.0%増の12.2円となった。

 このほか、マイレージ会員限定の高付加価値型商品などを販売したジャルパックの営業収益は、0.2%減の366億円で前年並みに。海外旅行の取扱人数は、円安による旅行代金の上昇やヨーロッパなどでの政情不安などで8.6%減の5万6000人となった。一方、国内旅行の取扱人数は、ダイナミックパッケージのウェブサイトの機能を拡充したことなどにより、1.2%増の55万5000人と増加した。