サービス連合、15年春闘は36組合が賃金改善、一時金も昨年並み維持
サービス・ツーリズム産業労働組合連合会(サービス連合)によると、2015年の春闘では36組合が実質的な賃金改善を達成し、このうち26組合が2年連続の改善達成となった。同会では、昨年の春闘からすべての加盟組合において、賃金カーブを維持した上で0.5%以上の実質的な賃金改善(ベースアップ、ベア)を達成すべく、取り組みを続けていた。
7月21日の会見で、同会会長の後藤常康氏は「13年の春闘までの賃金カーブ維持の取り組みから踏み出せなかったことと比較すると、多くの加盟組合が賃金目標達成に向けた取り組みに着手したことは大きな進展」と話し、「この2年間でサービス連合全体の3割近い加盟組合が実質的な賃金改善の回答を引き出した」と喜びを語った。また、15年春闘では合意に至らなかったものの、次年度以降の賃金制度改定や賃金引き上げの考え方を経営側から引き出した加盟組合もあると述べ、取り組みの成果が出たとの考えを示した。
要求書を提出したのは、ホテル・レジャー業が63組合、観光・航空貨物業が75組合の計138組合。賃金改善要求を実施したのが104組合で、このうち84組がベア要求をおこなった。また、一時金は業績連動制度の確認を含め122組合が、契約社員やパートタイマーなどの賃金改善については50組合が、最低保証賃金に関しては82組合が要求した。
賃金改善要求における妥結額は6月19日時点で、集計できた45組合の平均が6338円(2.15%)となり、昨年の平均6370円(2.24%)とほぼ同水準で推移。また、ベア要求は20組合の平均が2080円(0.70%)で、昨年の平均1509円(0.48%)に比べ大きく上昇した。
業種ごとの内訳で見ると、観光・航空貨物業で集計が取れた31組合の平均は6865円(2.20%)で、昨年の平均の6767円(2.20%)や、13年春闘の合意水準の5638円に比べて上回った。また、ホテル・レジャー業で集計できた14組合の平均は4687円(1.95%)で、昨年の平均5735円(2.16%)からは下回ったものの、13年春闘の合意水準である4104円からは大きく改善した。
一時金については、全体では昨年並みの水準となり、大きな伸びはなかったものの、リーマンショック以降では比較的高い水準を確保できたとの考え。ただし後藤氏は、短期的な企業業績に影響を与えることが否めないことから、固定支給部分の拡大など一定水準の底支えを意識し、年収水準の向上に取り組むことが必要とした。
年間一時金で妥結した27組合の平均は3.62ヶ月で、昨年の3.28ヶ月(前年:29組合)を上回った。業種別の内訳では、観光・航空貨物業17組合の平均は3.94ヶ月、ホテル・レジャー業10組合の平均は3.08ヶ月となり、昨年の平均3.68ヶ月(17組合)、2.72ヶ月(12組合)からそれぞれ改善した。
夏期一時金に関しては、集計ができた85組合の平均は1.62ヶ月で、昨年の1.67ヶ月を若干下回った。業種別では観光・航空貨物業56組合の平均は1.81ヶ月、ホテル・レジャー業29組合の平均が1.25ヶ月となった。
このほか、契約社員やパートタイマーなどの賃金改善に対しては36組合が合意。さらに、産業別最低保証賃金では、6組合が合意に至った。
次ページ>>>15年度から16年度も「3つの柱」に注力