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楽天、顧客サービス強化、訪日サイト拡充-潜在需要への取組も

  • 2015年7月6日

楽天執行役員トラベル事業長の山本考伸氏
 楽天が7月6日に開催した「楽天トラベルEXPO 2015」の戦略共有会で、同社執行役員トラベル事業長の山本考伸氏は、カスタマーサービスを強化すると発表した。楽天では2016年4月から宿泊手数料の徴収体系を変更。現在は宿泊施設から、消費税を除く宿泊代金の7%から9%を送客手数料として徴収しているが、今後は消費税を含んだ総額の7%から9%を手数料にする。こうした徴収体系の変更により、カスタマーサービスのさらなる充実をはかる考え。山本氏は「皆様の負担をいただきながら、どのように楽天トラベルがより多くのお客様を送り、量や数だけでなくサービスの質を上げていこうと考えているかを共有をしたい」と参加者に語りかけた。

 具体的には、今年中に宿泊施設向けのサポートデスクにおいて、現在の9時から17時30分までの電話受付時間を21時まで延長し、365日対応する計画。また、キャンセル料の収受について、事後カード決済のキャンセル料を自動徴収するほか、現地決済の場合のキャンセル料について、消費者の支払いを促すため働きかけを強化。予約したことを忘れたためキャンセルとなるケースを減らすため、7日前と前日に確認メールを送る取り組みも進めていく。

 消費者向けのサービスではコールセンターを新設。訪日外客向けに英語、中国語、韓国語対応をおこない、消費者の満足度をさらに高めていく。加えて、インバウンドの取り組み強化の一環として、現在7言語10サイトで展開しているインバウンドウェブサイトを、16年3月までに12言語、20サイトに増やす考え。今夏からはシンガポールで楽天トラベルと楽天市場のIDを連携し、秋から4ヶ国で楽天スーパーポイントとのポイント連携をはじめるなど、利便性の向上もはかる。

 また、楽天はこのほど、インバウンドを中心とした旅行者向けのアクテイビティを、個人間で取引できるCtoCサイト「ボヤジン」の株式の過半数を取得したところ。戦略共有会で登壇した同社代表取締役CEOの高橋理志氏によると、ボヤジンでは東京、関西、沖縄を中心に1000件以上のアクティビティを提供しており、年間利用者は英語圏、30代前後のカップル、ファミリーを中心に3万人。宿泊施設と連携し、訪日外国人への予約確認メールに施設周辺のアクティビティのリンクを貼る、またはホテル専用ページを作成して宿泊施設のページからリンクを貼り、成約した場合は成果報酬を支払うアフィリエイト方式で連携しているといい、今後もさらに取り組みを促進していくとした。

 さらに、山本氏は需要喚起の際、より重要なのが潜在ユーザーであるとし、潜在顧客の掘り起こしを強化していく考えを示した。すでに旅行を促すための情報として、重要文化財の宿、ユニークな祭り、看板猫がいる宿、といったテーマの特集を実施。今後も「旅行が習慣になっていないお客様に対し、難しいことを優しく、優しいことを深く楽しく伝えることで、旅行の楽しさ、エンターテイメントをより楽しく伝えていきたい」と述べた。

 楽天トラベル事業編成・マーケティング部の高野芳行氏も「観光情報はユーザーを旅に行かせたくなるには重要であり、楽天トラベルとしても力を入れている」と説明。楽天では「Project Canon」として、観光パンフレットの電子化を計画しているところ。同社のアンケートでは、旅行中に使用しているが旅行前には使っていないものとして現地の観光パンフレットがあがっており、今年8月にサービスを開始し、16年に正式にリリースする予定。将来的には海外のパンフレットへと対象を拡大していく方針だ。

 このほか、楽天では3月2日からインターネットラジオを開始。ツアーミュージシャンにツアーで訪れた先の観光地や食の魅力、宿泊施設を紹介する番組を放送しており、ミュージシャンのファンの人々を中心に旅行の魅力を訴求しているという。