西村副大臣と久保長官、アクション・プログラムに意欲-地方創生など軸に
国土交通副大臣の西村明宏氏と観光庁長官の久保成人氏はこのほど、業界誌記者団とのインタビューに応え、政府が6月5日に策定した「観光立国実現に向けたアクション・プログラム2015」の実行に向けた意欲を示した。両氏はともに、年間の訪日外客数2000万人達成の時期の前倒しを見据えた上で「受入体制の強化」「地域創生」「観光産業の基幹産業化」の3つをポイントとして列挙。今回の改定プログラムでは、訪日外客の消費額を目標達成の年には年間4兆円に倍増させることなどを目標に掲げている。
西村氏は訪日外客の受入体制強化について、航空面では主要空港の機能強化や座席供給量の増加に加えて「全国の空港にうまく就航していただき、各空港でCIQにしっかりと取り組む」など、地方分散などの必要性を強調。宿泊面では東京や大阪などを含む全国の旅館の利用率の低さについて述べ、「旅館は日本を代表する魅力にも関わらず、まだまだ余力がある」と説明し、今後の活用に意欲を示した。
新たな宿泊の形態として、近年注目を集めている宿泊者募集サイトによる民泊サービスについては、受入拡大の1つの方策として理解を示した一方で、現時点では安全面および衛生面、防犯面などの懸念があると指摘。「個人的には、現在の野放図な状況は好ましくないと思う」と語り、厚生労働省などの関係省庁と連携して実態の把握に努めた上で、一定の枠組みが必要になるとの見方を示した。
地方創生や基幹産業化については、地方における免税店の拡大について意欲を示し、地方の産品を発送する物流体制の強化を進める考えを明示。訪日外客の消費額を倍増させる政府目標に向け「確実な実行」に努めるとした。そのほか、スキーリゾート地の活用についても「外国人からの人気が高く、地方に強みがある」ことから意欲を示した。
自らの出身地でもある東北地方の観光振興については、7月にも岩手県、宮城県、福島県の3県の知事を交え、復興加速化会議を開催する旨を表明。改めて、同省が復興を支援する姿勢を示すとともに、自治体の観光へのさらなる注力を要請。国と自治体の連携を呼びかけた。
久保氏も地域創生への注力を大きな目標の1つに掲げ、地方の免税店を現在の約6600店から2万店にまで増やすことなどを強調。あわせて「地方の農産物や食品を安心して円滑に持ち帰ることができる」体制の構築に「早急に取り組むべき」とした。具体的には、各国ごとに異なる食品持ち込みの可否について、訪日外客に的確な情報提供を実施するための体制づくりなどを検討したいとした。
12日に同省が認定した、訪日外客向けの広域観光周遊ルート形成計画案7件については、それぞれに対して「強い熱意を感じた」と評価。一方で、まだまだ磨き上げる余地があるとの見方も示し、最終的な商品化に向けて、各地域や旅行会社と協働を進める考えを示した。