羽田米国線、DLのシアトル線維持を正式決定、デイリー不可ならAAに

  • 2015年6月17日

 米国運輸省(DOT)はこのほど、デルタ航空(DL)の羽田/シアトル線継続を正式に決定した。同路線は冬ダイヤでほぼ運休していたことから、アメリカン航空(AA)とハワイアン航空(HA)がDLの発着枠を没収し、再配分するようDOTに要請。これを受けたDOTは再配分の是非の検討に着手し、AAがロサンゼルス線、HAがコナ線を申請、DLは自社便の維持を訴えた。

 検討の結果としてDOTは3月末、通年でのデイリー運航と四半期ごとのレポート提出を条件に、DLのシアトル線維持を仮決定するとともに、DLが条件を遵守しなかった場合に備え、AAの羽田/ロサンゼルス線を代替路線に選定。これに対して、HAはシアトル線の維持そのもの、DLは通年でのデイリー運航の条件などについて異議を唱えており、今回の正式決定ではこれらの異議に対する回答が盛り込まれている。

 HAの反論に対しては、HAが提案した羽田/コナ線の計画は経済的で競争力があるとしながらも、羽田路線の地理的な多様化という目的を考慮すると、すでに3社が運航している羽田/ハワイ間に再配分するべきでないと改めて説明。また、ハワイ線は日本発のレジャー需要が大きいことから、DOTの最大の目的である「米国の公益の最大化」のためには、シアトル線を維持する方が良いとした。

 一方、DLは、冬ダイヤの運休を一度したのみで通年でのデイリー運航が条件として課されることは「極端」で「不釣合い」と主張。これに対しては、過去にDLが羽田枠をどのように活用していたかを考慮したものであると強調。デトロイト線でも、2年近くの間、当初の計画便数の半分以下しか運航していなかった点などを指摘した。

 さらに、発着枠剥奪の条件を、15日連続での発着枠の不使用とするというDLの代替案についても、採用した場合に90日間で6日間のみ、または1年間で25便のみしか運航しない可能性があることから、公益を最大化するという目的は果たされず、今回の最初の問題に戻ってしまうとした。

 またDLは、過去にAAとユナイテッド航空(UA)がブラジル線で長期運休をしていたケースと、対応が異なることも問題として指摘。しかし、DOTはAAの運休期間には他社から再配分の要請がなかったこと、UAのケースでは他社からの要請があった際にUAは一切反論しなかったことを説明した。

 加えて、DLは、代替路線として選ばれたAAには通年のデイリー運航が求められていないことにも反発。これに対しては、今回の条件が過去のDLの実績を踏まえたものと改めて説明。AAは羽田/ニューヨーク線を撤退した際も、DOTに同枠を返上しており、AAに条件を追加する必要はないとした。

 このほか、デイリー運航が必須条件となることで安全面に影響が出るとの訴えについては、安全は最優先事項であり合理的な理由での欠航は条件の対象から除外されるとしている。

 なお、今回の路線維持の条件は、通年でのデイリー運航と四半期ごとのレポート提出。もし、DOTの承認を得ずに運休した場合は、羽田/シアトル線の発着枠は無効となり、AAに発着枠が譲渡される。ただし、AAが運航を開始しなかった場合は、発着枠の権利は無効化し自動的にDOTに返上されることとなる。