現地レポート:エチオピア、アフリカ観光の新たなデスティネーション
世界遺産はアフリカ最多
歴史が支える独自の魅力
今年4月に初の日本路線となる成田/アディスアベバ線に就航したエチオピア航空(ET)はこのほど、日本の旅行会社を対象にファムツアーを実施した。首都のアディスアベバと、北部の主要な観光地であるバハルダール、ゴンダール、ラリベラ、アクスムの4都市を周るもので、5泊8日の行程。日本での認知度こそ低いものの、アフリカでは最多となる9つの世界遺産に恵まれるなど多くの観光資源を持つ同国について、デスティネーションとしての可能性を探った。
歴史と信仰に彩られたエチオピア
最初に訪れたバハルダールは、同国最大の淡水湖であるタナ湖畔の街。タナ湖は青ナイル川の出発点であり、付近にある「ブルーナイルの滝」は観光の目玉の1つとなっている。タナ湖クルーズでは、3600平方キロメートルにおよぶ広大な湖の眺めを楽しむだけでなく、点在する島々では同国独自のキリスト教教会であるエチオピア正教の修道院を見学することが可能。院内ではエチオピア正教ならではの、独特なタッチの宗教画を堪能できる。
次に訪れたゴンダールは、17世紀頃のエチオピア帝国の首都。約200年間にわたり繁栄したゴンダール王朝時代に建てられた6つの城や城門、城壁などが世界遺産に登録されている。また、天使の姿で埋め尽くされた「ダブラ・ブラハン・セラシエ教会」の天井は、数あるエチオピア正教の宗教画のなかでも、最高傑作の1つと評されている。
続くラリベラにも、世界遺産に登録されている12世紀後半の岩窟教会群があり、エチオピア観光におけるトップクラスの目玉となっている。教会群は、エルサレムへの道がイスラム教徒によって閉ざされ、巡礼が困難になったことからエルサレムを模して建造されたもの。なかでも、一枚岩を12メートルも掘り下げて建造したという十字架型の「聖ゲオルギス教会」の佇まいが、見る者にインパクトを与える。
アクスムは、エチオピア発祥の地と伝えられる、約3000年前に栄えたアクスム王国の首都。複数のオベリスクが立つ遺跡群が、やはり世界遺産に指定されており、ガイドブックや観光パンフレットなどで大きく採り上げられている。また、ソロモン王とシバの女王の伝説が残る地としても知られており、シバの女王の神殿跡とされる遺跡も残されている。
同国の中央に位置する首都のアディスアベバは、人口300万人以上を抱える東アフリカ有数の大都市。エチオピア正教の守護聖人である聖ギオルギスに捧げられた「聖ギオルギス教会」や、350万年前の二足歩行原人の化石人骨「ルーシー」のレプリカを収蔵している国立博物館、同国最大の市場である「マルカート」などが知られている。市の中心部にはヒルトンやシェラトンなどの外資系ホテルが複数存在し、欧米からの旅行者を集めるイタリア料理などのレストランも多い。