舞鶴、夏の食材アピールで誘客へ、ハイアット東京でフェア開催

両料理長が舞鶴の食材を使った料理をアピールした  京都府の舞鶴市は6月1日から30日まで、グランドハイアット東京の2つのレストランで「舞鶴フェア」を開催する。2015年度の「舞鶴市“食”のブランド力向上事業」の第1弾としておこなうもの。同事業は2014年度から実施しており、農林課、水産課、観光商業課が連携し、「舞鶴の食」として農水産物などの知名度向上や販売促進をおこなうもの。産地の舞鶴の情報を発信することで、地域の魅力向上や観光客の誘客もはかる。

 今回は京都のブランド野菜「万願寺甘とう」や、水産物ではじめて「京のブランド産品」として認証された「丹後とり貝」、初夏から夏が旬の「育成岩がき」など舞鶴の夏の食材を活用したオリジナルメニューを提供する。また、店内に地元工芸作家の作品を展示するほか、舞鶴を紹介するパンフレットも設置する。

舞鶴市産業振興部長の砂原由明氏  フェアに先駆けて開催した記者発表会で、舞鶴市産業振興部長の砂原由明氏は「舞鶴の農産物や水産物は非常に高く評価をされているが、全国的な知名度は高くないのが現状」と説明。首都圏でイベントをおこなうことで、食の魅力を広く発信していきたいとし、食をフックにした誘客につなげていきたい考えを示した。

万願寺甘とうは絡みや苦味がなく、ほのかな甘みがあるのが特徴。京のブランド産品として認定されている。写真は舞鶴海軍カレーライス旬房風  フェアではグランドハイアット東京の江戸前寿司「六緑」と日本料理「旬房」でオリジナル料理を提供。六緑では「寿司会席『ろくろく』」を、旬房ではランチタイム限定の「味覚御膳」とアラカルト料理6品を設けた。例えば寿司会席では万願寺甘とうとじゃこの焼きびたしや育成岩がきの蒸し物、舞鶴の魚介類をつかったにぎり寿司などをメニューに組み込んだ。

肉厚で独特の甘みがある丹後とり貝。重量が100グラム以上のものが「丹後とり貝」として出荷される  また、旬房ではアラカルト料理として万願寺甘とうの天ぷらや丹後とり貝のお造り、舞鶴海軍カレーライス旬房風などを用意。このほか、舞鶴唯一の酒造、池田酒造による舞鶴の地酒も両店舗で提供する。

育成岩がきの旬は初夏から夏。重量は300キログラム以上という規定がある。約3、4年育成するため天然貝と比べると約1.5倍の身入り  砂原氏によると、2014年7月20日に舞鶴若狭自動車道が全線開通しており、今年の7月18日には京都縦貫道も全線開通し、京都から天橋立まで車で1時間15分で移動できるようになるなど、インフラ整備が進んでいるところ。砂原氏は「舞鶴に来てもらうための環境は整った。今年はターゲットイヤーとして(観光誘致を)おこなっていく」と意気込みを述べた。

 舞鶴の2014年の観光入込客数は約230万人。2030年の300万人達成をめざし、誘客を強化していきたい考えだ。今後は食に加え、主要な観光素材と位置づける舞鶴の赤レンガ倉庫群と海の魅力を引き続き訴求していく。また、舞鶴市を含む京都府北部の5市2町で「海の京都」をアピールし、2泊3日で回る観光ルート化をめざす。7月18日から11月15日までの期間には、歴史や文化、祭り、食事などをテーマにした大型イベント「海の京都博~さあ、知と遊の冒険へ~」も開催するという。