現地レポート:タヒチ、離島とポリネシア文化をアピール
旅行代金も割安に 変化するタヒチ市場
離島に残るポリネシア文化 「隠れ家」に滞在する魅力
多様な魅力溢れる離島、クルーズの活用も
自然保護にこだわったラグジュアリーリゾートに滞在
タヒチの島々を結ぶ国内航空路線の拡充により、ここ10年ほどで離島間のアクセスはぐっと良くなった。こうしたなかで、タヒチ本島の北東350キロメートルに浮かぶランギロア島には、日本から星野リゾートがこのほど進出し「星野リゾート Kia Ora ランギロア」が開業した。
ランギロア島やファヒネ島など、タヒチ本島を拠点に様々な島に寄港しながら、8日から12日でクルーズの旅を楽しむ、ラグジュアリー船「ポール・ゴーギャン・クルーズ」もシニア層を中心に日本人乗客が増えている。ポリネシアン・ホスピタリティと南太平洋の海に身を任せ、手軽に夢の離島を訪ねることができるのが人気のようだ。
また、船でも通常の航空便でもアクセスできないのだが、タヒチ本島北西約60キロメートルに浮かぶティティアロア環礁に昨年秋に開業した、ラグジュアリー・リゾート「ザ・ブランド」が話題を集めている。米国の俳優、故マーロン・ブランドのプライベート・アイランドだったもので、12の環礁の一つ、78ヘクタールのオネタヒ島にリゾートと180人の従業員村がある。
島内の建物はリサイクル建材と地元産の建材を活用。電力は太陽光とココナツオイル、独自開発した深海水冷却装置による冷房システムと、再生可能エネルギーを使用しており、交通機関も電気自動車と自転車のみ。世界初のCO2排出ゼロの「ゼロ・エネルギー使用」リゾートだ。
リゾートはポリネシア王族の避暑地であった同島を入手したブランドの「再生可能エネルギーのみを使い、快適かつ自然の風景に溶け込んだ建物にすること。環境の研究機関を設けること。ここの生態系とポリネシア文化を守ること」という遺言に従って5年の年月をかけて完成した。環境保全のために水上バンガローはなく、浜辺にプライベート・プール付きのゆったりしたヴィラが25軒。ホテル施設のほかに、果樹園やエコ研究所などがある。
ベイリー氏は「エコというと我慢を強いられる環境を想像しがちだが、ここでは5ツ星ホテルのラグジュアリーとサステナビリティを両立させている」と評価。宿泊者は豊かな生態系と自然、ポリネシア文化を心ゆくまで堪能できるという。
宿泊はFITを対象に、飲食、アクティビティなど込みで税、サービス料別で3泊9000ユーロから。タヒチ本島のパペーテ空港から専用機で約20分に位置しており、ハリウッドのセレブ達にも人気だという。ヴィラはもちろん、他の諸施設やサービスともにプライバシーを徹底しており、一国一城の主になったようなプライベート・アイランドの醍醐味が味わえる。
タヒチ本島にいたゴーギャンも、最後は本島から1500キロメートルも離れたヒバ・オアの孤島で永眠した。子供の頃に読んだロビンソン・クルーソーの話は、都会の日常の中で一層憧憬をかきたてるものになってゆく。もはや冒険が難しくなった者にも、離島への旅ははるかなドラマとロマンへと誘ってくれる。