現地レポート:タヒチ、離島とポリネシア文化をアピール
旅行代金も割安に 変化するタヒチ市場
離島に残るポリネシア文化 「隠れ家」に滞在する魅力
ポリネシア最大・最古の遺跡が残るファヒネ島
のどかなポリネシアの原風景も
日本で現在商品化されているのは、タヒチ本島からフェリーで30分、絶景の山並みをゴーギャンが「古城」のようと称したモーレア島、ダイビングのメッカとされるランギロア島、バニラの名産地であるタハア島、そして、ポリネシア文化の遺跡が残るファヒネ島などだ。
なかでもボラボラ島の西50キロメートルに浮かぶファヒネ島にはポリネシア最古で最大のマラエ(神殿)と呼ばれる遺跡がある。ポリネシアは西にニュージーランド、北にハワイ、東にイースター島という南太平洋のほぼ三角形の広域に1000以上の島が点在しており、中央部に位置するタヒチは要衝の地といえる。
この数千キロメートルも離れた島々は、言語や風習などの文化や人々の体系などが類似しており、そのルーツは紀元前3600年頃、台湾を源流とするラピタ文化であるという説が強い。人類史上初めて遠洋航海を成し、紀元前300年から800年にかけてタヒチに到達し、ハワイ、イースター島、さらに南米大陸へと向かったとされるラピタの人々。1970年代初期にファヒネ島でポリネシア最古のマラエ遺跡の発掘を実施した、南洋考古学者の篠遠喜彦氏は、著書「楽園考古学(平凡社)」でその遺跡を「数百年前に津波で埋没したもので、まさに、ポリネシアのポンペイといえる」と記している。
現在、ファヒネ島西部のラグーンに面した一帯には古代神殿の石造りの基礎や祭壇の跡が再建され、ポリネシアン建築の水上博物館が佇む。このマラエに続く山腹は、僧侶や王族の古代の住居跡が残るトレッキング・コースともなっている。
ファヒネ島の中心地、ファレの港町から歩いて10分ほどの所にあるホテル「マイタイ・ ラピタビレッジ ・ファヒネ」でも建設の際に、古代の様々な遺物と共に神殿遺跡マラエの一部が出現した。それを敷地内に再現し、出土品や資料などを集めた小さなミュージアムも設けられている。マラエが佇む広い樹林の中に蓮池や小川があり、カヌーハウスをモチーフにしたポリネシアン建築のコテージが32棟。コテージの内装もラピタの伝統を意識したインテリアだ。タヒチ初の「カルチュア・ホテル」と称され、パシフィック・ビーチコマ社が運営する。
波止場を中心にヤシ並木と小さな商店が並ぶのどかな佇まいのファレ、緑と花に覆われて点在する可愛らしい民家、変化に富んだ岩山が出没する風景、豊かに実る果実と人懐こい島民など、ファヒネ島にはタヒチの素朴な原風景が残されている。