関空、14年度通期は営業利益36%増-国際線旅客数は過去最多
新関西国際空港(新関空会社)は5月14日、2015年3月期(2014年4月1日~2015年3月31日)の連結業績を発表した。貨物を含む航空機発着回数と国際線旅客数が過去最高となり、商業事業が大きく伸長したほか、昨年度下期から連結対象となったOAT(大阪国際空港ターミナル)グループも寄与した結果、営業収益は前年比21%増の1538億2200万円と大きく増加。利益面も、営業利益は36%増の442億6100万円、経常利益は52%増の332億8600万円と好調だった。当期純利益は、13年度にOATグループの連結開始に伴い負ののれん発生益を計上していたことから、18%減の195億9100万円となった。
同社常務取締役の竹嶋孝育氏は同日に開催した決算発表会見において、2010年の関空と伊丹の経営統合、2013年のOATグループとの一体化に加え、急増するアジア諸国からの訪日旅行者が、好調を後押ししている旨を説明。「アジアの経済成長を踏まえると、引き続きこの傾向が続くと期待できる」と満足感を示した。
あわせて、航空旅客数、営業収益、営業利益、EBITDAのいずれも中期計画の目標を達成したことを報告。LCC増便の遅れなどにより、航空機発着回数は計画を下回ったが、「もともと“意欲的”な高い目標であり、成長は続いている」と説明した。
関空の営業収益は14%増の1139億1700万円で、直営事業を含む商業事業が31%増の432億円と大きく増加。空港運営事業も6%増の666億円と伸張した。営業費用は直営事業収入の増加に伴う売上原価増などで9%増の811億1600万円。営業利益は30%増の328億円となり、関空単体でも増収増益となった。
貨物を含む航空機発着回数は、9%増の14万5000回で過去最高となった。1日あたりの乗入便数は9%増の198.7便。国際線旅客便は夏ダイヤと冬ダイヤともに過去最高スケジールとなったことにより11%増の7万9000回で過去最高。そのうちFSCは6%増の6万2000回、LCCは31%増の1万7000回だった。国内線はLCCの新規就航や増便などにより6%増の5万回となった。
航空旅客数は11%増の2004万4000人で、00年度以来初めて2000万人を突破した。過去最高となった国際線旅客数は、日本人旅客が7%減となったものの、外国人旅客は41%増で、全体では12%増の1351万9000人となった。なお、日本人630万人に対し外国人は699万人となり、外国人の数が日本人の数を上回った。国内線もLCC効果などにより7%増の653万人となった。
伊丹については、営業収益は運航機材の変更などにより着陸料収入が減少した結果、2%減の137億6400万円に。一方で、営業費用は滑走路修繕費の減少により8%減の71億円となったことから、営業利益は6%増の66億6300万円となった。発着回数は13.9万回、1日あたり乗入便数は190.6便でともに前年並みだったが、旅客数は長距離路線の増便などにより4%増の1462万1000人となった。OATグループは営業収益が128%増の376億400万円、営業利益は307%増の46億5700万円だった。
15年度の通期業績の見通しについては、年度内に予定するコンセッションにより、新たな運営権者による事業開始が予定されていることから公表は控えた。貨物便を含む発着回数については3%増で過去最高となる29万4000回を予測。うち関空は7%増で15万5000回、伊丹は前年並みの13万9000回とした。旅客数については5%増の3652万人とし、うち関空は8%増で過去最高となる2168万人、伊丹は1%増の1483万人とした。