3月の訪日客、過去最高の152.6万人-久保氏、観光通年化に意欲

  • 2015年4月22日

 日本政府観光局(JNTO)によると、2015年3月の訪日外客数(推計値)は前年比45.3%増の152万6000人で、単月として初めて150万人を突破し、過去最高を記録した。また、1月から3月の累計は43.7%増の413万1400人で出国日本人数累計の402万7600人を上回った。なお、3月の出国日本人数は4.2%減の153万人。

 観光庁長官の久保成人氏は4月22日の定例会見で、1月から3月を振り返り、円安やビザの大幅緩和、免税制度の拡充、春節、桜シーズンに向けた訪日プロモーションなどを増加の要因として説明。免税制度については、購入者に「日本製品が価格的に見て品質が良いということ」がアピールできたとの考え。また、JNTOによると、昨年は4月中旬だったイースター休暇の時期が4月3日から6日に変動したことで、欧州や豪州など、イースターに合わせて3月に休暇をとる人々が増えたのも増加の一因だという。

 また、久保氏は訪日客に占める比率が高い東アジアや伸び調子の東南アジアに加え、成熟市場である北米や英国、フランス、ドイツなども増加している点に触れ、「全方位的に数字が伸びた。日本を旅行先として世界中の主要市場が見てくれている」と喜びを示した。

 3月の市場別では、香港、ベトナム、米国、カナダ、英国、ドイツが単月として過去最高を記録。唯一前年を下回ったロシアを除く19市場で2桁の伸びを示し、3月として過去最高となった。最も伸び率が高かったのはフィリピンで、110.9%増の2万6800人。ついで中国(83.7%増、33万8200人)、香港(81.8%増、11万7200人)となった。

 4月は桜を目的とした訪日旅行需要の拡大や円安傾向の継続、イースター、4月4日から6日の清明節、4月13日から15日のソンクラーンに伴う休暇などにより好調に推移する予想。久保氏は「春の桜は(訪日誘客に)極めて有効な手段」であると期待を示した。

 同氏によると、2、3年前までは訪日客は夏のピークに集中していたが、春の桜や秋の紅葉などのプロモーションが奏功し、春、秋もピーク化。今年2月の春節シーズンが好調だったことで、冬のピークもできたと見ている。その上で、久保氏は「次は(年間を通しての)平準化で、高い水準で維持するところまでいければと思っている。通年化すれば(宿泊施設などが)フル稼働できるので、投資する側にも良いでは」と話し、1年を通しての誘客に意欲を示した。

 また、久保氏は4月からVJ事業などの執行機関となったJNTOについても言及。「プロモーションが効果的にできる体制ができあがった」とし、4月以降、観光庁とJNTOが一体となって本格的に訪日誘客に取り組んでいくと語った。今後は広域観光周遊ルート策定などの取り組みを通し、日本全国各地に訪日外客が訪れるよう、プロモーションをおこなっていく。

 さらに、同氏は「地域地方に多くの外国人が行くことは、非日本人による国内旅行ということ」であるとし、「インバウンドと国内旅行が一体化していくことになるのでは」と指摘。訪日客を呼びこむための観光地の動きが、日本人の国内旅行にもプラスになるとに期待を示した。