通訳案内士検討会、4つの論点に集約-試験は語学力重視へ

  • 2015年3月23日

 観光庁は3月23日、第7回の「通訳案内士のあり方に関する検討会」を開催し、これまでに実施したヒアリングをもとに、今後の議論に向けた論点の確認をおこなった。事務局は論点を「資格制度の法的枠組み」「資格付与のあり方」「品質確保方策」「利用促進方策」の4つに整理。4月22日の次回会合で「資格制度の法的枠組み」と「資格付与のあり方」について、次々回会合で残りの2つについて本格的な議論をおこない、その後1回か2回の会合で提言を取りまとめる。

「資格制度の法的枠組み」については、現行制度の維持の必要性や、業務範囲の明確化、資格対象言語以外の言語の取り扱い、特区などにおける新たな資格区分の創設の可能性などについて議論。「資格付与のあり方」では、訪日外国人旅行者のニーズに対応した試験の出題方針や合格基準、在外試験制度の見直しなどを含む試験の実施方法、登録要件の改定などについて検討する。

「品質確保方策」については更新制度の是非や導入した場合の要件、研修の実施体制やそのための費用負担、評価制度の導入と手法などについて審議。「利用促進方策」については、利用者への情報提供の方法や、関係者間の協力体制の構築、地域連携のあり方について議論する。東洋大学国際地域学部国際観光学科准教授の矢ケ崎紀子氏は、「2020年に向け、今回がしっかり見直しをできる最後のチャンス」と強調し、今後の議論に意欲を見せた。

 この日はそのほかに、事務局が2015年度の通訳案内士試験に関して、これまでの議論をもとにガイドラインの改正をおこなうことを明らかにした。参加委員の間で既に了解が得られたと考えられる事項を盛り込み、15年度試験の内容に反映させる。

 今後の出題方針としては、語学科目については「外国人旅行者と適切に意思疎通がはかれる水準」をもとに設定。事務局によれば近年は、TOEICなどの受験結果などにより筆記試験科目の免除を進める傾向が顕著だったが、委員からの要望もあり15年度以降はより高度な語学力を求める考え。また、口述試験についても試験時間を従来の8分程度から10分程度に延長し、コミュニケーション能力も含めた運用能力を判断する。

 一方で、その他の日本の地理や歴史、一般常識については、「外国人旅行者の関心の高い事柄などに関する基礎的な知識」を問う内容とする。また、これまでは平均点を60点程度にする方針を念頭に問題作成をおこなってきたが、その結果として「難問や奇問」が多くなる傾向があったため、同方針については削除するとした。

 ガイドラインの改正内容については今月中に固め、4月初旬から開始する試験問題の作成に備える。試験は第1次の筆記試験を8月下旬に、第2次の口述試験を12月上旬におこない、最終合格者は2月上旬に発表する予定。