募集型企画旅行のウェイティング基準を明確に、観光庁が事務連絡

  • 2015年3月19日

 観光庁観光産業課はこのほど、日本旅行業協会(JATA)と全国旅行業協会(ANTA)に対し、募集型企画旅行におけるウェイティングの取扱いについて、取引条件の説明書面などに明確に記載するよう依頼する事務連絡を書面で実施した。消費者とのトラブル防止の観点によるもの。観光産業課によると、昨年末から旅行会社側と話し合いを進め、今回取りまとめたという。

 書面では、募集型企画旅行の申込について、旅行者が申込をした際に航空座席の空きがないためキャンセル待ちとなるケースや、旅行者のために増員の手配をする必要があるなど、手配の可否が不明確であるため、手配が確実になるまで契約締結の承認通知を保留する取り扱いを「ウェイティング」と定義。ウェイティングの取り扱いは標準旅行業約款での明確な規定はないが、旅行会社は旅行契約の締結が可能になり次第、申込順に契約を成立するため、申込時に申込相当額を「預かり金」として収受していることについて説明した。

 その上でウェイティングについて、旅行者への説明不足や用語の不適切な使用により、トラブルの要因になっているケースが散見されると指摘。例えば予約時に預かり金ではなく「予約金」と説明して誤解を招いたり、申込者は予約できたものと考えていたがウェイティングだったため、手配できなかった際にトラブルになる場合があるとした。

 事務連絡では、トラブル防止の観点から、約款の募集型企画旅行契約の第1条第2項の「法令に反せず、かつ、旅行者の不利にならない範囲で書面により特約を結んだときは、前項の規定にかかわらず、その特約が優先する」という規定に基づき、ウェイティングについて書面による特約とすることが望ましいとした。加えて6つの留意事項を記し、旅行会社に適宜対応するよう依頼した。

 留意事項では、取引条件説明書面に記載する場合に「特約事項」であることや、ウェイティングの状態では契約成立ではなく手配を確約するものではないこと、消費者が旅行の「予約」と混同しないよう適切に特約事項を作成することを呼びかけた。

 また、申込金相当額は「申込金として受理するものではない」ことや、相当額の預かり金を申込金に充当する時期や旅行契約の成立時期を明確化すること、キャンセル待ちの解除や手配ができなかった場合は取消料収受期間でも全額を払い戻すことを明確化するとした。

 これを受け、JATAではウェブサイトなどで会員にウェイティングの際の取引条件の説明と、パンフレットや旅行条件書などの取引条件説明書面での記載について、速報の発出以降作成するものから実施するよう求めるとともに、具体的な文例を示した。なお、既存の取引条件説明書面については修正・訂正の必要はないが、旅行者の誤解が生じないよう適切に説明するよう呼びかけている。

 JATAではウェイティングの取扱方式について、2種類の方法を想定。1つ目は旅行契約が締結できるようになった時点で、旅行業者が契約締結を承諾した旨を旅行者に通知し、預かり金を申込金に充当して契約を成立させる方法。1つ目は旅行契約が可能になったことを旅行者に通知し、旅行者の通達を得た後、預かり金を申込金に充当して契約を成立させる方法で、どちらの方法かは各社の営業実態に合わせて決めることとしている。

 その上で留意事項に基づき取引条件説明書面を作成の上、旅行者に説明・交付するように呼びかけた。また、特約であることの明示については、「○○ウェイティングの取扱についての特約」のように、他の項目と対等な独立した項目を設定し、特約であることを明確化して記載するか、別の書面で作成して交付するかを求めた。

 一方、ANTAでは通達をウェブサイトに掲載。引き続き会員各社への周知徹底のため、活動を続けていくとした。