香港、15年120万人へ「元気になる」アピール-新素材も
デモ影響払拭、路線充実など追い風に2桁増へ
「東西・新旧」の融合共存もテーマに
▽「PMQ」など新旧融合の新施設、16年にはマカオや本土へアクセス改善
昨年末の現地視察では、デモによる影響がないことの確認とともに、新しい素材を知る機会ともなった。
HKTBが15年度のプロモーションで取り上げる東西文化の対比や伝統と革新の共存を良く表しているのが、以前は既婚警察官用の宿舎であったという「PMQ(Police Married Quarters)」。建物自体は生かしつつ、クリエイティブ産業やデザイン業界のハブとして再生し、かつて警察官たちの生活の場であった部屋はデザインスタジオやショップに生まれ変わっている。
ひとつひとつの部屋はさほど大きくなく、それぞれに服飾や雑貨などを扱う瀟洒な店舗、レストラン、カフェなどが入居。屋上はウッドデッキの広場になっており、ベンチやテーブルのほか自由に弾けるピアノなども配され、訪れた際には子どもたちが連弾する姿も見られた。なお、施設は2棟に分かれており、その間の移動がやや不便なので留意しておいた方が良いように感じる。
また、新素材として訪れたのが「香港3Dミュージアム」で、大きく絵が描かれた壁の前に立ってポーズを取ると、特定の角度から立体的な写真が撮影できるというもの。ミュージアムを名乗っているからか壁画がさほどリアルでなく、入館した直後は頭の中に「?」マークが浮かんだが、実際にはなかなかどうして参加者同士で写真を撮り合い大賑わいとなった。
このほか、ランタオ島のゴンピンビレッジ内では、香港映画の特徴であるワイヤーアクションと特殊効果を取り入れたショーを見せる「ステージ360」と、3D映像と動く座席、水しぶきなどを組み合わせ五感でランタオ島を紹介する「モーション360」を訪問。
特にステージ360は、視察時点ではブルース・リーと彼の師匠であるイップ・マンをテーマにした劇を観ることができ、ブルース・リーが似ていたこともあって大満足の内容であった。HKTBシニア・マーケティング・エグゼクティブの山本恵美氏によると、相当に腕の良い俳優が使われていたという。
なお、これらに加えて大きな可能性を秘めるのが2016年に開通予定の「港珠澳大橋」だ。ランタオ島とマカオ、そして広東省の珠海市を繋ぐもので、3地域のアクセス利便性が圧倒的に高まる。もともと香港とマカオは旅行会社側でも同じ部署あるいは社員が担当することが多く、橋の完成でより魅力的な商品が増えると期待できる。
堀氏によると、HKTBでも橋の開通を見据え、旅行業界向けメッセージの共有などマカオ観光局との関係深化に動いているところだ。