おもてなしはまず行動、プラスアルファのサービスでリピーター化を
おもてなしは「想って成す」 顧客情報をサービスに活用
事業範囲の拡大も
「お出迎え」は重要なアピールの場
コミュニケーションで情報収集を
また、西川氏は、顧客を出迎える「お出迎え」の重要性を指摘した。同氏が船井総合研究所時代に航空券を手配した時、出張者から「この航空会社には一生乗りたくないから、別の航空会社に変えてほしい」と要望があった。結局スケジュール上の問題で変えることはできなかったが、帰ってきた出張者からは「乗ってから降りるまでずっと客室乗務員を見ていたが、よかった」と言われたという。
西川氏はこの体験から「人の怖さを感じた。一度悪い印象を与えると終始あらを探される」と語り、「だからこそお迎えは大切なこと」と訴えた。例えば表参道の「レストラン・カシータ」ではビルの外で店内スタッフが顧客を待ち、タクシーのドアを開ける。カシータ以外の乗客もいるが、間違ってもフォローをしながらそのサービスを継続しているという。
一方、西川氏はある旅館が車のナンバーを見て「○○からようこそいらっしゃいました」という出迎えをしていたが、一度間違えてしまい、お客様から冷たくされたことで「ご迷惑をおかけしてしまった」とサービスを止めた例を紹介。「1人の(お客様の)嫌がる印象を皆が嫌がる、という言葉に置き換えてやめてしまうのはもったいない」と話した。
カシータでは、予約の電話で、顧客の情報を可能な限り引き出すよう取り組んでいる。「電話は20分切るな」と言われているほどで、予約の目的、会社名などをヒアリングすることで、例えばテーブル上のキャンドルに会社のロゴを入れる、テーブルナプキンにイニシャルを刺繍する、などのサービスを提供している。
西川氏は、こうしたサービスを過剰なものに感じる人もいるかもしれないが「すべての人を満足させないとならない、と尖ったところを削ぎ落としたおもてなしではなく、『何このサービス』と言うお客様がいてもいいのでは」と提案。たとえ用事がなくても、次も訪れたいという顧客を作るためには、程々の満足では不十分であると述べ、「たった1本の電話はお客さまにとって楽しい旅を作る上での大切な1本」との意識を十分持つことが重要とした。