中国旅行懇話会、訪中旅行の安全性確認、在上海領事にヒアリング
中国旅行懇話会と中華人民共和国訪日観光客受入旅行会社連絡協議会(中連協)は1月14日、合同新年会を開催した。中国旅行懇話会の代表幹事を務める日中平和観光の山中広氏は冒頭の挨拶で、尖閣諸島問題などに端を発する日中間の関係冷え込みにより、訪中日本人旅行者数が引き続き低迷している問題について指摘。一方で、昨年11月には国土交通大臣の太田昭宏氏が中国国家旅游局長と会談を実施したことなどに期待感を示し、「相互理解が深まれば、両国の関係も徐々に緩和する」と述べ、関係者の協力を求めた。
この日は新年会に先駆け、中国旅行懇話会が昨年12月12日から15日にかけて上海などで実施した3泊4日の研修旅行について報告。キャラバンツアーの増山章氏と日本中国旅行社の江野澤博幸氏は、長江三峡でのリバークルーズ船試乗や、現地の旅行業関係者との意見交換、在上海日本領事館主席領事の岡田健一氏を招いて実施したセミナーなどについて、概要を説明した。
このうち15日に実施したセミナーでは、岡田氏が上海および華東地域における治安状況について説明。江野澤氏によれば岡田氏は、「昨年9月の着任以降、“反日”を感じたことはない」と述べるとともに、南京大虐殺の国家追悼日である12月13日も反日感情が表面化した事案はなく、中国メディアの報道にも日本への一定の配慮が伺われた旨を説明したという。また、日本人居住者の多い古北地域などで犯罪被害が増加しているものの、ほとんどは「ぼったくり」によるもので、死亡につながる犯罪はほとんどないとした。
岡田氏はこのほか、日本のマスコミによる報道の傾向について指摘。「歪曲した報道と言わざるをえないものもある」との見方を示したほか、「日本で報道される時には良い面だけがカットされることが多々ある」ことを問題視した。日本人の訪中旅行については、「円安や大気汚染などの問題はあるものの、感情面は大丈夫」とし、市場回復について希望的な見方を示したという。