東欧3ヶ国、「パールロード」浸透に向けセミナー、美食の旅アピール
クロアチア、スロヴェニア、ハンガリーの3ヶ国は11月27日、ハンガリー大使館で「パールロードセミナー」を開催した。「パールロード」は、日本人観光客にとって馴染みの薄いクロアチア北部とスロヴェニア、ハンガリー南部の認知度向上に向け、2008年に3ヶ国が周遊ルートとして提唱したもの。プロモーション活動の結果、既に複数の旅行会社による商品化が実現しているが、今回のセミナーではさらなる知名度の向上とツアーの造成に向け、「グルメ+ワイン」をテーマにそれぞれが自国の魅力をアピールした。
クロアチアについては同国政府観光局日本代表のエドワード・トゥリプコヴィッチ片山氏が、オーストリアやハンガリーなどの影響を受けた北部の料理に加えて、ユネスコ無形文化遺産に登録された地中海沿岸部の料理などを紹介。同国は3ヶ国の中で唯一長大な海岸線を有しており、海の幸と山の幸の両方に恵まれた食文化の多様性を訴求した。そのほかには、イタリアとクロアチアのみで採れる白トリュフの魅力などについて説明した。
クロアチアの今年1月から10月までの累計日本人旅行者数は15万8098人で、早くも過去最多を記録した2009年の16万3400人に肉薄。宿泊数については22万6211泊で、既に2009年の22万1541泊を超えている。片山氏は「今年はこれまでで一番良い年になる」と述べ、記録の大幅な更新に期待を示した。
スロヴェニアについては同国政府観光局日本代表のティナ・クラケル・チャイ氏が、同国の生ハムやソーセージ、ケーキなどについて解説。スロヴェニア人が日本人と同様に蕎麦を日常的に食べることも紹介し、蕎麦の実を使ったリゾットや蕎麦粉のラビオリなどの魅力をアピールした。そのほか人口約200万人の小国ながら4万軒を超すワイナリーが存在すること、同国第2の都市マリボルには世界最古のブドウの木が存在することなどを説明。スロヴェニア版「ワイン街道」をツアーへ盛り込むことを呼びかけた。
クラケル・チャイ氏によれば、2013年にスロヴェニアを訪れた日本人旅行者は、2012年とほぼ同水準の約3万6000人。今年については、アリタリア-イタリア航空(AZ)の成田/ヴェネツィア線就航などが追い風となり、1月から8月までの累計では前年比5.9%増と好調に推移しているという。
ハンガリーについては同国政府観光局日本代表の勝田基嗣氏が、ワイナリーと世界遺産に恵まれたエゲルやペーチなどの都市を紹介。貴腐ワインで有名なトカイをはじめ、同国には22ものワイン生産地域があることを紹介し、「ワインの生産国は料理が美味しい」と強調した。また、この日はハンガリー東部とスロヴァキア東部の世界遺産めぐりを組み合わせた新たなツアーの造成なども提案した。
ハンガリーの今年1月から10月までの累計日本人旅行者数は、前年比約7%減。元ハンガリー政府観光局局長で、現在は同国大使館の一等書記官を務めるコーシャ・バーリン・レイ氏によれば、減少の主な原因は消費税増税と見られ、あわせて2013年は円に対して同国通貨のフォリントが安く、日本人旅行者が増加していたため、今年はその反動が現れているという。