トップインタビュー:ファイブスタークルーズ代表取締役社長 澤田まゆみ氏
-富裕層の傾向と、彼らに対する販売戦略について、お考えをお聞かせください
澤田 ラグジュアリークルーズの富裕層は、リタイアして時間がある熟年層がメインです。ラグジュアリークルーズのスケジュールを見るとわかりますが、7泊8日という1週間程度のものもありますが、14泊、20泊といった、長いコースが多く、リタイアしてある程度お金がないと乗れないということがあります。そうしたお客様が私達の主なターゲットです。
富裕層の人で本当にクルーズに乗りたいという方のうち、日本語しか話せない方や、日本食がないと・・・という方には日本船の「飛鳥II」を、海外クルーズであれば添乗員付きのツアーをお勧めします。しかし、そういった方ばかりではなく「個人で良い船に乗りたい」というお客様は結構いらっしゃるので、まずはそうした層の掘り起こしをおこなっていきたいと思います。
また、英語は話せなくても楽しむ気持ちの方もいらっしゃいますし、どうしても心配なら日本人コーディネーターが乗船している船も少しずつですが増えてきています。そこを上手にご案内できれば不安も消えますし、問題ないと思います。富裕層の方は細かい価格は気にせず、内容を非常に気にします。内容をいかに細かく説明し、すばらしさを伝えられるかが重要なポイントかと思っています。
ファイブスタークルーズでは数を扱うのではなく、単価の高いお客様を少なく扱っていきます。まずは年内まで1組の単価を100万円と想定し、1日1組をめざして取り組んでいきます。リピーター化を狙い、それぞれのお客様にどこよりも丁寧なインフォメーションの提供、対応をおこなっていきたいと思います。
販売はウェブサイトで展開し、店舗のような形は今のところ検討しておりません。直接話したいという方にはオフィスにお越しいただく形をとりますが、ウェブサイトに注力していきます。船のインフォメーションを画像とともに紹介し、乗船記なども掲載したいと考えています。熟年層が対象なので、新聞広告も実施したいです。オフィスでは少人数制の説明会を定期的に開催したいですね。
-最近日本発着クルーズが増加していますが、海外クルーズの販売への影響は
澤田 日本発着クルーズについては、よく海外でのクルーズが増えるきっかけとなるという話もありますが、そうとは限りません。「横浜発着が楽なので」という理由で、海外クルーズから日本発着クルーズに流れる方が多いのではないでしょうか。
クルーズのリピーターを見ると、1年に3回というより、1、2年に1回乗船する方が圧倒的に多いです。横浜発着で結構楽しめるクルーズであれば、飛行機で海外に出てクルーズを体験するよりも楽です。特に年配の方がそういう理由から日本発着クルーズに流れている傾向はあると思います。もっとも日本発着クルーズをきっかけに、エーゲ海、地中海クルーズに行く人もいるのでお互い様の部分もあるでしょう。
日本のクルーズは神奈川や函館など、魅力的な寄港地がたくさんあります。しかし、エーゲ海の美しさは圧倒的ですし、地中海や北欧のフィヨルドといったクルーズの醍醐味は日本では味わえません。一度日本から飛び出し、フライ&クルーズを体験していただければ、海外クルーズのリピーターになるのではないでしょうか。
-ありがとうございました