KNT、横浜商大と人材育成で提携、学生企画の着地型商品販売も

  • 2014年11月26日

(左から)横浜商大学長の柴田悟一氏、KNT営業統括本部首都圏営業本部長の木島正人氏  近畿日本ツーリスト(KNT)と横浜商科大学(横浜商大)は11月26日、観光振興における相互連携協力に関する基本事項について、協定を締結した。横浜商大が2015年度から「観光マネジメント学科」を新設することに伴うもの。KNTは学科新設に際し、旅行業で培った経験やノウハウを提供。学生に対し、実際のイベントの企画・立案・運営や着地型商品の造成の場を提供し、人材育成に協力していく。連携を円滑に進めるため、KNTの窓口として横浜支店を設定した。

 同日開催した記者会見で、KNT営業統括本部首都圏営業本部長の木島正人氏は、提携について「長年培ってきたノウハウを生かし、人材育成事業として旅行、イベント研修、インターンシップ、留学などの具体的な案件について、立案実施に協力する」と説明。インターンシッププログラムについては「旅行業の実践を学生のうちに身につけてもらい、即戦力になる人材を育成」したいと語った。

 横浜商大学長の柴田悟一氏は「大学では座学中心だが、これからは企業とのフィールドワークをできるだけ広げたい」と述べ、KNTと協力して独自のインターンシップやスポーツ関連イベント企画・立案などをおこなっていきたいとした。

 具体的には、現役学生による神奈川県横浜市などの着地型商品の開発と販売などをおこなっていくほか、2015年3月に同県箱根町で開催する「第3回温泉DE女子フットサル大会IN箱根」で、学生がイベントの運営や接客などを学ぶ機会を設ける。

 KNT横浜支店長の荷見篤志氏によると、着地型商品の開発は12月から実施。横浜商大の1学年全員でグループワークを実施し、商品を開発する。KNTのスタッフはアドバイザーとして参加。グループワークのうち優秀作品を旅行会社社員の視点でブラッシュアップして商品化する。来年3月から販売を開始する予定だ。荷見氏は「例えば修学旅行生が横浜を訪問した時、どういったものがヒットするかは現役学生での目線がいい」と期待を示した。

 販売はティー・ゲートの着地型商品流通サイト「旅の発見」で展開する。学生企画であることを押し出し注目度を高める考えだ。当初は商品ブランドは設定しないが、「現在来年度に向けた単位化の話もしており、毎年恒例となれば可能性もある」とした。

 第3回温泉DE女子フットサル大会IN箱根では、KNTが運営するイベントであることを活かし、準備段階から運営まで学生が関わる形でプログラムを組み、展開していく。荷見氏はイベントの運営に関わることで、学生に旅行会社の影の努力や大会終了後の達成感、感動、満足感を感じてほしいとし、「そうすることで入ってからのミスマッチも減ってくるのでは」と語った。木島氏も「我々の業界は中に入ると(華やかな)イメージと大分違う、独特の物がある」とし、「ある程度ギャップをご理解いただいた上で戦力として入っていただいたほうが、企業も学生も幸せなのでは」と語った。

 また、木島氏は将来的には、学生が立案したツアーをKNTが募集し催行したい考えを示した。例えば2泊3日ツアーを催行し、企画した学生が補助要員として添乗に付き従うことで、参加者が実際にどのような感動、喜びがあるかを感じてもらいたいとした。

 観光マネジメント学科の定員は70名。観光産業における即戦力となる人材育成をめざしており、学生は観光ビジネス、観光マーケテイング、国際イベント・MICE、まちづくり、スポーツマネジメントの5つの領域のうち1領域を選択する。なお、現行の「貿易・観光学科」は現在の学生が卒業するまで存続する。