トップインタビュー:ベストリザーブ代表取締役会長兼CEO 岡武公士氏
めざすは「総合旅行会社」
海外、訪日も3年以内に開始
─今後、宿泊施設とインターネットを取り巻く環境はどう変わりますか
岡武 これからは、宿泊施設の自社サイトが強くなる時代が来る。既に強いウェブサイトを持つホテルチェーンなどもあるが、さらに強さを増していくと思う。景気が回復し始め、訪日旅行も増えれば、宿泊施設の需要はさらに旺盛になる。そうすれば宿泊施設は、OTAなどに頼らずとも、インターネットを駆使して自分たちでチャンスを生み出せる。
最近では団体向けの大型旅館などよりも、少し小さめでも魅力的で、宿泊客をしっかりと掴んでいる旅館の方が強い。自ら努力し、直販やOTAの活用で頑張っている施設は、やはりより多くの宿泊客を獲得できる。
宿泊施設はOTAを介した宿泊客に対して、今後は直接メールを送って営業するかもしれない。しかし一方で、OTAも自分たちの会員であれば、宿泊施設の会員にメールを送る。今の時代はそういったことはある意味お互い様で、自由に競争すればいいと思う。OTAの果たす役割や度合いも、時代や状況によって変化する。
例えば大きく拡大している訪日旅行については、今のところは既存の旅行会社が強いので、特に東京、大阪、札幌などの宿泊施設はなかなかOTAにまで流れてこない。しかし今後は、訪日旅行者が永遠に増え続けるわけでもない。宿泊施設は、旅行会社の団体旅行にばかり頼っているようでは、2020年以降は苦しくなるだろう。
─OTAの果たす役割が変化するなかで、ベストリザーブの生き残り策は
岡武 宿泊施設とは良い関係を続けて、一緒に成長していきたい。手数料は5%で他のOTAより圧倒的に安いし、値上げをするつもりもない。宿泊施設は独自プランなどで、消費者に魅力的な値段を提示しやすいはずだと思う。目線は常に宿泊施設に向けていたいと思う。
契約している宿泊施設には、様々なOTAと契約して構わないと伝えている。我々だけで満室にできるのなら話は別だが、1社による囲い込みは宿泊施設のためにならない。営業競争のなかでそれぞれが努力を続けてこそ、宿泊施設はOTAを信頼関係するものだと思う。
だから宿泊施設には、OTAを基本的なインフラとして常時活用するようにしてほしい。困った時だけOTAを使おう、というのでは問題がある。利用者にとっても、OTAが最も便利な予約ツールであることは間違いないはずだ。
─ありがとうございました