アジア太平洋の航空16社、収益向上や安全性など課題を討論

  • 2014年11月19日

  航空会社16社で構成されるアジア太平洋航空会社協会(AAPA, Association of Asia Pacific Airlines)は11月19日、第58回社長会を東京で開催した。同団体は、主に航空政策に関わる改善要望や施策に対する意見を取りまとめ、各国の行政に対し要望を伝えていく協会。今年は加盟航空会社のうち全日空(NH)がホストエアラインを担当し、代表取締役社長の篠辺修氏が議長を務めた。

AAPA事務局長のアンドリュー・ハードマン氏 オープニングセレモニーで登壇したAAPA事務局長のアンドリュー・ハードマン氏は、航空会社が抱える課題として、航空会社各社の収益性の向上、航空機を使った旅行の安全性、日本と中国、タイ、ベトナムなどの政治情勢やエボラ出血熱などの世界的な流行病など外的要因を挙げた。なかでも収益性については、2013年のアジア太平洋地域の航空会社は前年比6%増にあたる10億人以上の旅客を送客しているが「利益は前年の半分未満の25億米ドルしか得ていない」と説明。需要は増加しているが、市場の競争環境の激化などが要因で収益が低い現状を語った。今回の会議をはじめ課題解決にむけた議論を進めるとともに、各国政府機関や規制当局に働きかけていく方針だ。

NH代表取締役社長の篠辺修氏 また、篠辺氏はLCCの拡大や中東キャリアの台頭、経営破綻や経営統合、アライアンスの拡大、ジョイントベンチャー、出資による航空会社の連携など、航空産業の取り巻く環境の変化を指摘。こうした環境下で「16社のアジア航空会社を束ねるAAPAの果たす役割は、益々大きくなる」と話した。

 さらに、ハードマン氏は航空業界においてアジア太平洋地域の著しい成長が見込まれる中、同地域内での相互協力を深め、共通の概念のもと意思表示をしていく必要があると示唆。同氏によると、今後20年間の旅客輸送量(RPK)の成長率では、世界平均は4.7%増のところ、アジア太平洋地域は5.7%と増加し、世界のRPKに占める割合は30%から36%に拡大する見込みだという。篠辺氏も国際航空運送協会(IATA)のアジア太平洋地域の成長に関する予測について言及。同地域は今後10年で世界の中でも突出した成長を予測しているとし、「AAPAの傘の下、航空会社の発展のために今後共協力していきたい」と語った。

 このほか、オープニングセレモニーには国土交通副大臣の西村明宏氏が「(人々の)交流を支える航空は経済、文化、平和の確立に重要な役割を果たす」と航空産業の意義を強調。政府としても「航空会社の創意工夫で多様なサービスが提供できる環境づくり」を協力して取り組んでいく姿勢を示した。