エクスペディア、モバイル強化、多端末統合で「旅行の未来」へ

  • 2014年11月13日

(人物左から)アジア地域最高事業責任者のビクラム・マルヒ氏、アジア地域CEOのキャスリーン・タン氏、北アジア・マーケティングディレクターの木村奈津子氏 エクスペディアは11月13日に東京で記者会見を開催し、スマートフォンやタブレットなどが普及して多様化する消費者ニーズに対応する新戦略を発表した。新戦略は「シームレス・トラベル・プラットフォーム」を軸とするもので、パソコンやスマートフォンなどにシームレスに対応するだけでなく、従来は旅行先や宿泊施設、航空券などの検索と予約のみを役割としていたところから旅程管理などの機能も用意。「単なる予約エンジン」から「旅の相棒」への進化、「旅行の未来の形」の実現をめざす。

 エクスペディアでアジア地域CEOを務めるキャスリーン・タン氏は会見の冒頭、「エクスペディアはオンライン・トラベル・エージェントと考えられているが、実際はトラベル・テクノロジー・カンパニー」であると説明。その上で、「Googleは世界を支配しようとし、Facebookはコミュニケーションのあり方を変えつつある。我々はテクノロジーを、旅行を力強くし人々の生活に変化をもたらすために使用する」と語った。

 従来、エクスペディアではパソコンやスマートフォンなど、1つの端末ごとにサービスを設定してきたが、新戦略のもと複数の端末で旅行予約や管理などを共有できるようにする。日本市場では、2013年に旅行検索数ベースでスマートフォンとタブレットの合計値がパソコンを上回っているといい、今後は例えばタブレットのアプリで検索して検討し、後でパソコンから予約するような使い方に対応する。

 すでに、ウェブサイトは様々な端末でそれぞれ快適に表示できる「レスポンシブルUI」に移行している。また、今回発表したタブレットアプリでは予約完了後も旅程管理を一元化できるように設計。航空便やホテルの詳細確認、ホテルや空港までの道案内、空港内の地図、メールやソーシャルメディアでの旅程共有機能を搭載。さらに、チェックインカウンターや搭乗ゲートの変更、航空便の遅延、手荷物受取のターンテーブル番号、ホテルのチェックイン時間などをアラート表示する機能も設けた。

 また、全利用者・全端末に画一的に情報を発信する従来型のサービスから、利用者の検索履歴に基づいて個別に最適化された情報を提供するように変更。こうした「パーソナライゼーション」は、検索のみで1分間に1万件という膨大なデータを利用するが、これについてエクスペディア・アジア地域最高事業責任者のビクラム・マルヒ氏は、年商5兆2000万円という事業規模があってこそ可能と自信を示した。

 なお、GDSとの連携といった特徴を持つ他の旅程管理アプリなどもあるが、マルヒ氏は徹底的に作りこんだという画面の操作性や視認性、デザイン性が差別化のポイントになると分析。また、旅行に関して検索、予約、旅程管理までワンストップでサービスを提供する点も強みであると語った。今後は、他の予約エンジンの旅程をインポートするような機能も開発予定という。