LCCで航空旅客増、鉄道から転化も-利用目的は観光、片道利用の割合高く

  • 2014年11月9日

▽LCC、観光目的がメイン、片道利用も-就航先の重要度で自治体側とギャップ

 調査では、LCCの利用者の傾向を探るべく旅客アンケートを実施。2013年11月16日、17日の2日間、過去1年間にLCCを利用した、または国内LCC利用可能区間でFSC、高速バス、鉄道で旅行をした旅行者1200サンプルを収集した。

 アンケートの結果、LCC、FSC、高速バス、鉄道の利用者を比較すると、LCC利用者は高速バス利用者よりも年齢、所得共に高いが、鉄道、FSC利用者よりも低くなった。職業別では、LCC、高速バス利用者は学生の占める割合が他の交通機関より大きかった。旅行の目的では、LCCは「観光」の割合が64.4%となっており、FSC(58.2%)、高速バス(55.3%)、鉄道(53.3%)に比べ高い結果となった。

 LCC利用者の旅行動向では、LCCと高速バス利用者は片道利用の割合がそれぞれ29.4%、45.4%で、FSC(10.7%)や鉄道(16.7%)よりも多かった。このため、研究所ではLCCにより新規需要が誘発される場合、他の交通機関の利用にもつながる可能性があると見ている。

 利用動機を訪ねた質問では、LCC利用者と高速バスで似た傾向が見られた。共に運賃の安さを最も重視しており、遅延や欠便の少なさの重要度が低かった。ただし、LCCは座席の快適性を重視しない、高速バス利用者は所要時間を重視しない点で異なっている。

 また、LCCがなかった場合どうしていたかを尋ねた質問では、16.0%が「旅行しなかった」と回答しており、研究所ではLCCが新規需要を喚起したと見ている。一方、「LCC以外の航空会社を利用した」は58.0%であることから、LCCがFSCから旅客を転換させているとした。なお、FSC利用者にLCCを利用しなかった理由を聞いた質問では「利用したい時間帯に便がない」が最も多く、機内が狭い印象がある、安全性に不安を感じる、予定通り出発できない可能性が高い、という理由が続いて多かった。

 このほか、調査では日系3社と春秋航空日本(IJ)と自治体3ヶ所に対し、LCCが就航を検討する際に関心が高い項目を聞いた。LCC各社は発着可能時間帯や施設の余裕、ターンアラウンドの時間といった空港の運用面や、知名度や人口・産業などの集積、地域間のつながり、地上交通機関の利便性といった事業環境も重要視しているという結果が現れた。一方、自治体へのヒアリングでは、LCCはこうした項目をそれほど重視しているとは考えていない結果が出ており、2者間の差異が明らかになったという。