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訪日FITの旅行先「行きたい」と「行きやすい」に強い相関-JTBF調査

  • 2014年11月5日

JTBF観光政策研究部主任研究員の相澤美穂子氏 日本交通公社(JTBF)は11月4日に第24回の「旅行動向シンポジウム」を開催し、主任研究員などがこのほど刊行された「旅行年報2014」をもとに、近年の旅行業界の概況について解説した。この中で、訪日旅行について報告した観光政策研究部主任研究員の相澤美穂子氏は、今夏に実施した調査から、訪日旅行の7割を占めるFIT層が地方への旅行に強い意欲を持っていることが明らかになったと説明。また、訪日FIT層にとって「行ってみたい観光地」と「行きやすいと思う観光地」には、強い相関関係が見られたことも報告した。

 相澤氏は、過去最高の訪日旅行者数を記録し、初来日の旅行者が拡大する一方でリピーターも増加した昨年について、「非常に健全な成長が続いた」と総括。合わせて、全体の3割を占めるツアー利用者と7割を占めるFITがともに大きく拡大したこと、北海道が前年比52.7%増、北陸信越が67.0%増、沖縄が93.2%増となるなど訪問地の多様化が進んだことなどについて述べ、今後はリピーターおよびFIT客の地方分散化が「重要なテーマになる」との見解を示した。

 JTBFでは今年の7月に、韓国、台湾、中国、タイ、インドネシアの5ヶ国・地域の、10代から50代のFIT志向の訪日外客1960名を対象にインターネット調査を実施。集計結果によると、今後3年以内に訪日旅行を希望している回答者については、これまでの訪日回数が多いほど、個別手配の利用を志向する傾向が高いことが明らかになった。いずれの国でも、6回以上の訪日を経験した旅行者の約6割が、個人旅行を志向する傾向を示したという。

 また、今後3年以内に個別手配またはフリープランで訪日旅行を希望している回答者の51.1%は、「地方に個人旅行経験があり、今後も行きたい」と希望。「経験はないがぜひ行きたい」「経験はないができれば行きたい」と回答した希望者を合わせると、97.7%が地方への旅行に関心を持っていることが明らかになった。地方を訪れる際の旅程については「大都市と地方の組み合わせで周遊」を希望する回答者が約半数を占め、引き続き大都市を軸にした旅行に注目が集まる傾向が見られたものの、6回以上の訪日経験者に関しては、多くの地方観光地で訪問率が顕著に上昇する傾向が見られた。

 今回の調査では地方への旅行を志向するFIT層が「行ってみたい」と回答した観光地は、回答数に比例して「行きやすいと思う観光地」の上位に名を連ねた。「行ってみたい観光地」の上位3位だった「大雪・富良野・十勝」「阿寒・網走・知床・摩周湖等」「河口湖・富士山」は、「行きやすいと思う観光地」のそれぞれ1位、3位、2位となり、首都圏から比較的アクセスしやすい日光などに大きく差をつけた。

 この結果について相澤氏は「観光地にとっては訪日客に来てもらうためのヒントになる」と強調。自治体や観光プロモーション団体が、訪日外客に対して交通機関や宿泊施設などの情報を適切に発信することが、FIT層の取り込みに大きな影響を与える可能性があることを示唆した。

 そのほかに相澤氏は、FIT層が地方へ旅行する際には、言葉の通じにくさや外国語の案内表示の少なさなどの「言葉」の問題や、移動時間の長さや交通の手配の手間などの「交通」の問題などが、大きな壁になっていると指摘。また、多くの旅行者が消費税免税制度の利用を希望しているにもかかわらず、免税店が以前として大都市圏に集中している問題についても述べ、10月からの税制改正を機に地方でも免税店が増加することを期待した。