京都観光の新素材「海の京都」、アクセス向上で日本海沿岸にスポット
京都府は、京都観光の新しい素材として「海の京都」を打ち出していく。京都市内と日本海沿岸を結ぶ京都縦貫自動車道が来年春に全線開通するのに合わせ、日本三景の天橋立がある宮津市を中心に、丹後半島から内陸の福知山市、綾部市にかけての地域を一体的にプロモーションし、観光客の誘致につなげる。日本海沿岸を「海の京都」とするのに対し、観光の中心である京都市内を「陸の京都」とし、海と陸のコントラストで京都観光全体の魅力アップをめざしていく。
ツーリズムEXPO会場内で開催した旅行会社向けセミナーで、京都府副知事の西康博氏は「府北部地域は長い歴史と文化の色濃い地域であるにもかかわらず、アクセスの悪さなどから、ターゲットとしてはこれまで空白エリアだった」と説明。「掘り起こす価値のあるエリアであり、新しい目線で京都を商品化する絶好の素材になる」ことを強調し、行政としても同エリアの観光開発に力を入れ、1泊2日で巡る観光エリアに育てていく方針を示した。
海の京都としてプロモーションを仕掛ける地域は、宮津市、伊根町、京丹後市、与謝野町、福知山市、舞鶴市、綾部市の7市町。同地域は、観光庁が推進する「新観光圏」に今年7月認定され、国からの総合的な支援が受けられるようになった。すでに、エリア内で使用する統一ロゴマークを作成したほか、各地の観光施設などで特典が受けられるパスポート(ガイドブック)も作成した。
京都縦貫自動車道が全通すれば、京都市内から天橋立まで約1時間半で結ばれ名神高速道路と直結することから、名古屋方面からのアクセスも飛躍的に向上する。長距離アクセスだけでなく、エリア内の回遊性も高めるため、北近畿タンゴ鉄道の利便性・快適性向上や、丹後半島を一周する「ぐるたんバス」の導入、さらに、海から景観が楽しめるよう宮津/伊根間に遊覧船による海路を新設した。なかでも北近畿タンゴ鉄道は、昨年4月から水戸岡鋭治氏のデザインによる観光列車「丹後あかまつ」「丹後あおまつ」の運行を開始。今年5月には「丹後くろまつ」も導入し、車内で丹後産の食事や酒、スイーツを提供するなど、観光路線としての充実度を高めている。
今後、各エリアで観光客受け入れのためのソフト面・ハード面を一層充実させるほか、地域の特徴を活かしたモデルルートの開発を進める。また、今年末頃から首都圏などでの観光ピーアールやイベントなどをスタートさせ、高速道路が全通する来年春に向けて「海の京都」の知名度を高めていく。