羽田、昼チャーター枠を春まで延長、深夜早朝で着陸料割引も
国土交通省航空局はこのほど、羽田空港の国際線昼間時間帯(6時から23時)の未使用枠9枠について、ITCチャーター向けに開放する期間を2015年3月末まで延長すると発表した。米国との航空交渉の遅れのため利用していない枠の有効活用をはかる考え。当初は夏ダイヤ限定としていたが、冬ダイヤでもITCチャーターが利用できるようにした。
航空局では14年夏ダイヤから、羽田空港の昼間時間帯の国際線発着枠40枠のうち、未配分の9枠をITCチャーターに提供しているところ。夏ダイヤでは日本航空(JL)のミラノ線、ローマ線、MIATモンゴル航空(OM)のウランバートル線など、合計で約50便のチャーターが実施される予定だという。
冬ダイヤで実施できるチャーターの条件は夏ダイヤと同様で、羽田出発または到着の国際線ITCチャーター。羽田と定期便がある空港や、同一都市圏内にある空港へは就航できない。第3国チャーターは不可。個札販売は、相手国側で認められないなどの例外を除いて割合には制限を設けない。チャーターの申請の機会は、冬ダイヤ中で2回設ける予定とした。
また、航空局では羽田の深夜早朝時間帯(23時から翌6時)の利用促進をはかっており、このほど国際線着陸料について、11月から2017年10月までの3年間、軽減措置を適用することも決めた。首都圏の国際競争力の強化と、訪日外国人旅行者の更なる増加への対応などを目的にしたもの。航空局によると、深夜早朝時間帯40枠のうち、利用されているのは23枠で17枠が未使用のまま。着陸料を割り引くことで、現在比較的余裕がある同時間帯の発着枠の利用促進をはかる考えだ。
着陸料は1年目は5割、2年目は3割、3年目は2割割引する。対象となるのは、11月以降、羽田の深夜早朝時間帯に新規就航、または増便した国際線旅客便。例えば、ボーイングB777-300型機で新規就航した場合、通常1回あたりの着陸料は約70万円だが、軽減措置により1年目は約35万円、2年目は約49万円、3年目は約56万円に割り引く。
すでに羽田に乗り入れている航空会社各社には軽減措置について説明済みで、今後は新規就航を検討している会社にも説明をおこなっていく予定。航空局によると、すでに既存・新規航空会社共に数社から問い合わせが来ている状況だという。
なお、現在実施している深夜早朝時間帯の国内線の着陸料軽減措置については2015年3月まで実施し、5割引とする。4月以降については、2015年度の概算要求で要望しているという。
さらに、深夜早朝時間帯の利用促進には空港アクセスの充実も重要との考えから、バス事業者などと連携し、同時間帯に羽田空港/都心方面を結ぶアクセスバス実証運行をおこなう計画だ。運行期間は10月26日から2015年3月31日まで。羽田空港国際線ターミナル/銀座・東京・秋葉原線、新宿・池袋線、渋谷線、大鳥居・蒲田・品川線、横浜(YCAT)線の5路線を1日1往復する。運行時間は羽田空港発が深夜1時台、羽田空港着が早朝4時台で、既存の公共交通機関が運行していない時間帯に設定した。
なお、銀座・東京・秋葉原線と大鳥居・蒲田・品川線は国の「羽田空港の深夜早朝時間帯における利用促進調査」による実証運行、新宿・池袋線と渋谷線は東京都による実証運行、横浜(YCAT)は京浜急行バスによる自主運行となる。