2020年の関西の国際観光とは 大阪国際大学・シンポ(1)

 大阪国際大学はこのほど、シンポジウム「2020年関西の国際観光」を開いた。来春の国際教養学部開設を記念し、訪日観光客を迎えるための人材育成や関西観光の戦略などについて討議した。

大阪の観光価値を高める "東京にない"を積み重ね

 シンポジウムははじめに、ホテル再建で知られる窪山哲雄さん(ザ・パークグレイズ・ホテルズ社長)が「ホスピタリティが産業界のすべてを変える」と題し基調講演を行った。

 窪山さんは「ホテルは複合産業化し、従業員も多国籍化している」としマネジメント能力が従来以上に求められる時代になったと分析。特に、宿泊施設の最大の価値である「おもてなし」について女将らによる経験則から科学的、経営学的におもてなしを捉える必要があるとした。

 IT革命によって「価格主導権が消費者に移った」ことで、顧客の浮動化と没個性が進んだ。窪山さんは、それに対抗する唯一の価値がマニュアルで固定化されたサービスと、客ごとに変化する液体状のホスピタリティが合わさった「おもてなし」であると強調した。

 「ホテル産業は女将さんが1人でやってきたノウハウを共有し、チームで仕事をする。そのマネジメントに長けた人材を育てることで、価格主導権をホテル側に取り戻すことが可能になる」とし、ホテルが目的地化することが大切だと話した。

 「2020年関西の国際観光」と題し行ったパネルディスカッションも窪山さんが口火を切った。ザ・ウィンザーホテル洞爺リゾート&スパの再建について「観光価値が高まるように部屋づくり、フード&ビバレッジを徹底に磨き上げました。ホテルだけを売ろうとするとスイングが小さくなってしまいます。洞爺を、北海道を、日本を海外に売る。そのためにはインパクトが必要で、東京にないものを出し強引に注目させていきました」。

 大阪についても窪山さんは「東京に持っていないものを積み重ねる。規制緩和をして海外のプライベートジェットをどんどん受け入れ、金持ちを優遇すればいい。そして京都、奈良を一体化し面で捉える。観光資源の塊のような場所に、おばちゃんに代表されるおもてなしの市民がいます。徹底的に東京と戦ったらいいんです」。


情報提供:トラベルニュース社