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業務渡航の包括的受注でBTM推進を-インハウスセミナー

  • 2014年8月5日

BTMAジャパン代表の森栄蔵氏  ビジネス・トラベル・マネージメント・アドバイザーズ・ジャパン(BTMAジャパン)の代表を務める森栄蔵氏は8月5日、インフィニ・トラベル・インフォメーションの協力を得て開催したセミナーで講演し、年々厳しさを増すインハウスエージェントを取り巻く状況について解説。業務渡航の手配が中心になっているエージェントも多い中、今後の生き残りのためには、業務渡航の包括的な受注によりBTM(ビジネス・トラベル・マネジメント)をおこなう「トラベル・マネジメント・カンパニー(TMC)」への転換が必要になるとの考えを示した。

 BTMAジャパンは、旅行会社が企業から業務渡航の関連サービスを包括的に受注するための支援事業をおこなっており、森氏は海外の航空会社や業務渡航系旅行会社に勤務した経験をもつ。「ビジネストラベルに関わる制度変更、革新的ITテクノロジーの変遷と展望」と題した講演で森氏は、国際航空運送協会(IATA)による航空券流通の見直しや、IT技術の進歩による予約ツールの進化などにより、業務渡航を取り巻く環境が年々厳しさを増していると説明した。

 また、発券コミッションの撤廃や燃油サーチャージの高騰なども踏まえ、「航空会社は今後とも頼れるサプライヤーであり続けるか」と疑問視。そのほか親企業の経営環境も、今後は国内外ともに厳しさが増すとの見通しから、「従来型の予約手配や発券などの業務内容で今後も事業を続けていけるのか」と問題提起した。

 これらの見通しを示した上で、今後のインハウスエージェントの事業継続に向けては、業務渡航手配中心のいわゆる“代理業”から、「業務渡航のコンサルティング業」への業態転換が重要になると指摘。業務渡航に関する包括的受注やフィービジネスへの転換、業務およびサービス領域の拡大が必要になるとの見方を示した。また、出張などの業務渡航に限らず、ミーティングやイベントなどMICEの取り込みも重要になるとした。

 このほか、今後の日本企業のグローバル化を見据えて、グループ内の業務渡航をグローバルレベルで管理する部門「グローバル・トラベル・マネージメント」を設けることも提案。コスト削減や出張情報の収集、危機管理などを一元的におこなうことは「企業の継続性の観点からも重要」と説明した。

 森氏は、インハウスエージェントがすぐにでも取り組める課題として、海外出張者・赴任者のビザの迅速かつ確実な取得や、赴任者家族のサポートなども列挙。これらが出張者の満足度向上につながり、結果的には「ビジネスの領域を拡げる」とした。