JATA、「旅の安全の日」の模擬訓練、90社が実施-緊急連絡体制などで課題も
日本旅行業協会(JATA)によると、7月1日の「旅の安全の日」に伴い模擬訓練を実施した旅行会社は7月15日現在、合計90社となった。「旅行安全マネジメント」の普及・促進の一環としておこったもので、7月1日に実施したのは計50社。人事異動や業務などの影響で40社が1日以降におこなった。90社のうち海外旅行の模擬訓練は62社で、国内旅行は49社、訪日旅行は30社だった。
7月1日の模擬訓練では、地震発生を想定して実施。JATAによると、大手旅行会社を中心に20社以上が対策本部を設置した。訓練後に役員を招集して情報収集し、課題抽出のため会議の場を設けるなど本格的な訓練を実施した会社もあったという。
訓練ではJATAが午前09時31分に地震発生連絡を各社にメールで送信し、それを受けて参加各社が緊急連絡網で情報を発信し、滞在者数確認などをおこない、JATAに報告した。JATAによると、全社がメールを受信し、模擬訓練を開始したことを確認できたのは10時49分だった。
緊急連絡体制の確認では、最も早かった会社で対象人数15名に4分に連絡が回った。旅行会社の種類別では、第1種は平均対象人数が20.6人で、平均一巡時間は57.2分となり、人数は最も多いが時間は一番短かった。第2種は平均対象人数は16.8名、平均一巡時間が88.2分。第3種は平均対象人数が14.4名、平均一巡時間が70.5分だった。また、滞在者数確認の調査都市数と調査人数は、海外が111都市4996名、国内が57都市8513名、訪日が33都市1472名だった。
JATAによると、訓練から緊急連絡体制の課題として、電波が届かない、本人が連絡対象であると認識していない、担当者不在時のバックアップ不足、迷惑メール設定のためメールが届かない、個々人の着信確認の必要性などの意見が出された。また、訓練全体では、営業時間外や休日に発生した場合の訓練の必要性や、実際の地震発生時の通信手段の確保方法、手配旅行の行動把握、緊急情報の端的な伝え方、現地スタッフ派遣やマスコミ対応、幼児同行時の確認などが課題にあがったという。
今後は定期的に模擬訓練を実施していく方針。また、安全マネジメントの取り組みとして、ツーリズムEXPOジャパンや北海道、仙台、福岡での旅行保険加入促進や、外務省が実施中の一般向け海外旅行登録サービス「たびレジ」のピーアール活動も展開する。このほか、中間期の取組状況調査や、旅行安全マネジメント自主点検もおこない、年度末には旅行安全マネジメントの取組状況を調査する予定だ。
さらに、安全管理責任者の増加もはかる。JATAによると、今回の模擬訓練を契機に43社が安全管理責任者を任命しており、現在第1種で全体の12.7%にあたる82社、第2種で3.4%の6社、第3種で5.3%の16社が任命済みだ。JATAでは2014年度の目標として、第1種と第2種でそれぞれ50%、第3種で30%の任命率をめざすとしている。