アクセスランキング、1位は阪急新社長、エアアジア再攻勢も

[総評] 今週は、阪急交通社の代表取締役社長に4月1日付けで就任した松田誠司氏のインタビュー抜粋が1位になりました。もともと海外旅行を強みとする阪急交通社は2013年、中国と韓国への需要激減のあおりを受けて苦戦を強いられていますが、打開策について話される松田氏のお考えは、今までお会いした旅行会社経営者の中で最も現実主義的に感じました。

 厳しい状況で社長職を任されるということは立て直しを求められているわけで、自分であれば「とにかく何とかしなければならない」ことを大前提に演繹的に考え、ましてやそのような中での就任直後のインタビューとなると、肩に力が入って威勢のいいこと、明るいことを言ってしまいそうな気がします。しかし、松田氏はあくまで淡々と、厳しいものは厳しい、難しいものは難しいと話を続けられ、いわば「静」の姿勢が印象的でした。

 また、印象的といえば、目標設定も都道府県ごとに人口比での取扱人数シェアを求められており、これも今まで他で聞いたことはありませんでした。とはいえ、この数値が低ければ「必要とされておらず、あってもなくても変わらない」というご説明は誠に腑に落ちるもので、改めて経営の道筋はたくさんあるものだと感じています。インタビューの詳細は後日掲載いたしますので、是非またご覧いただければ幸いです。

 さて、今週はエアアジア(AK)グループが注目を集めた1週間でもありました。3位は楽天などと組んで「エアアジア・ジャパン」を再び設立し、国内線と国際線の運航をめざそうとするもので、9位はタイ・エアアジアX(XJ)が9月から成田/バンコク線の運航を開始する記事です。

 全日空(NH)との合弁会社は極めて短期間で終了し、現在はバニラエア(JW)として再出発していますから、国内でLCCを自称する航空会社は5社になります。現状を見ているとそんなに必要かと感じてしまいますが、総座席数に占めるLCCの割合は、日本では現在のところ数%程度であるのに対して欧米では3割超ということで、ポテンシャルはあるのでしょう。

 ただ、やはり一つ疑問なのは日本では「飛行機に乗りたくても乗ることができなかった層」が諸外国ほど多いとは思えない中で、どのように新規需要が開拓できるのか、そこまで爆発的な需要の拡大が望めるのかという点です。もちろん国際線であればインバウンドの伸びに期待できますが、国内線はそこまででもないはずです。

 国際線にしても、もう何社のLCCが乗り入れているのかもよく分からないような状況で、さらにジェットスター香港や台湾のVエアーなど就航の意思を表明している会社もまだあります。既存路線に加えてこれらの航空会社の座席もきちんと埋まるのであれば訪日2000万人もあっという間に到達しそうですが、宿泊施設などのキャパシティがそれを許すかという課題も残ります。

 ただ、AKのトニー・フェルナンデス氏と楽天の三木谷浩史氏という、明確な実績を残してきた起業家2名がそこに可能性を見出しているのも事実です。特にフェルナンデス氏は、うまくいけばエアアジア・ジャパンが「グループ内で最大の航空会社になる可能性がある」と話されており、それだけ大きなポテンシャルが見えていることになります。

 旅行業界で当面の節目として認識されているのは2020年ですが、その時点で日本の空がどのようになっているのか、その時に流通のあり方はどのように変化しているのか、強い興味を感じます。まずは週明けの7月7日にはXJの記者会見が予定されておりますので、新しい情報をお伝えできるのを楽しみにしています。(松本)

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2014年7月第1週:6月29日0時~7月4日18時)
第1位
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第10位
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