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航空局、羽田米国線の進展に期待、米系の理解求める

  • 2014年4月9日

 国土交通省航空局長の田村明比古氏は4月9日の専門誌会見で、羽田空港の昼間時間帯発着枠が焦点となる米国との航空当局間協議について「少しでも前進させたい」と希望を語った。米国とは、断続的に公式、非公式の意見交換を実施してきているものの進展しておらず、今夏ダイヤで発着枠が拡大した羽田空港の昼間時間帯も米国線は運航されていない。

 田村氏によると、現状の「最大のポイント」は成田空港にハブ機能を構築している米系航空会社が、「羽田の昼間に北米線が1便でも飛ぶことによって成田の客が減る」と主張していること。この主張に対して田村氏は、「多少の影響というものはあるのかもしれない」としつつ、羽田のキャパシティが非常に大きく増えるわけではないとコメント。

 航空局としては、すでに就航している深夜早朝枠の米国線について、時間帯が悪いために搭乗率が上がりにくいなど課題がある中で、昼間時間帯の枠を使用して利便性を向上できることは航空会社にとってのメリットであり、「もう少し、日米関係の重要性や航空利用者の利便性を考えて柔軟に対応しませんかと、そういう投げかけをしている」という。

 加えて、首都圏空港の将来的な更なる増枠も検討する中で、成田と羽田の2空港の活用方法について協議を継続していくことも呼びかけているところ。こうした日本側の姿勢について、田村氏は「それほどおかしいことではないと思っている」との考えで、引き続き理解を求めていく方針だ。

 米国側の事情については、「色々な意見があるということだと思う」と分析。米国では航空会社のニーズや意見が日本以上に大きな力を持っているといい、今回は有力な航空会社の意見や利害関係が必ずしも一致しておらず、「政府としてはそれを、特に反対している航空会社を全く無視して前に進むということはなかなかしにくい」と推測した。

 羽田空港の昼間時間帯では、米国との交渉に備えて1日9便分の発着枠を残している。現在はITCチャーターで利用できるように取り計らっているが、田村氏は「極めて貴重な枠であり、そんなに何年もその状態を続けていくわけにはいかない」と強調。米国との協議を少しずつでも前進させていきたい考えを示した。

 なお、航空局では米国を含めて各国とのオープンスカイを推進してきているが、「国によって条件をいろいろと設定している」ところ。今後はこうした国ごとの制約を少なくする方向だが、田村氏は「闇雲に何でもかんでもオープンにすれば良いというものでもない」と言及。

 できる限り多様な航空路線網の確立をめざしつつ、「我が国の企業はすっかり損ばかりして、残ったのはただ自由という枠組みだけ」という事態を避けるべく戦略的に交渉を進めていく考えだ。