新局面を迎えたホールセール商品、高付加価値化の中に見えた各社の方針
2014年上期商品のキーワード
▽羽田発着
海外旅行市場全体でいえば、上期の最大のトピックは羽田国際線の拡張だ。ANAセールスはメリットを最大限に生かす方針。NHの乗継用サービスの利用に加え、ANAセールスも国内線ターミナル到着ロビー内に専用乗継カウンターを設置。国内線乗継無料や前後泊プランの設定、店頭向けのPOPの作成など利便性のアピールを強める。
各ホールセラーも地方の需要獲得が期待できる羽田発商品に力を入れており、日本旅行ではヨーロッパ商品の羽田発コース数が前年比10%増加。ルックJTBは東京発商品全体で現在、成田8割、羽田2割の比率だが、羽田発着を順次増やしていく方針だ。
▽デスティネーション
各社の強化方面ではアメリカ、ヨーロッパなどメジャーデスティネーションの再開発が目立つ。アメリカでは添乗員付きコースの拡充が特徴。日本旅行では消費品数を1.5倍に拡大したほか、ルックJTBは今年の「デスティネーション・クローズアップ」に設定し、国立公園やエンターテイメント、都市など様々な切り口で魅力に迫る。
ヨーロッパでは、ジャルパックがスイス新企画としてグリンデルワルトやツェルマットでの滞在型商品を設定。定番デスティネーションでの新発想の商品も誕生している。
▽テーマ型商品、ハネムーン・ウェディング、クルーズ
テーマ型商品では、日本旅行がクルーズのラインナップを拡充。マッハで新たに「ラグジュアリークルーズ」を新設定するなど、フライ&クルーズ商品で前年比1.4倍の設定とした。
また、ハネムーンやウェディングの取り組みも顕著で、KNTでは「ハネムーンハワイ」の別パンフレットを展開。従来からハネムーナー需要が多いというANAセールスでは、ハワイの方面パンフレットでハネムーンをターゲットに特集ページを4ページにわたり掲載。専用リムジンや宿泊ホテルでのスパークリングワインの提供など、サービスも強化した。
なお、パンフレットは現在、テーマや客層に訴えられるよう多種類展開とする傾向が強まっている。
▽現地プラン、サービス
現地プランやサービスも拡充している。JTBではホノルルの専用ラウンジを4ヶ所に拡大したほか、グアムも空港内にオープン。また、ハワイの現地シャトルバス「‘OLI‘OLIスニーカー」のカイルア散策コースを1日7便に拡大。オセアニアの「ルックJTB号」はオーストラリアで増便し、ニュージーランド、タヒチ、ニューカレドニアでも運行する。
ジャルパックでは新コンセプトとして、シニア向けに「朝」の観光を楽しめるプランを全方面で設定。例えばハワイではダイヤモンドヘッドの早朝トレッキングを楽しめる「モーニングトロリー」を運行する。また、ANAセールスではオリジナル観光バスで「ハレイワライン」を新設定するほか、ハワイ離島コースの参加者にはレンタカーを無料提供する。
▽IT施策
ITの活用施策も強化されている。ホリデイではインターネット対応を強化し、昨年7月からはネットで予約した商品を店頭で支払う仕組みも開始。ネット予約の15%が店頭に訪れているという。オンライン販売比率を今後30%に高めていく方針だ。
日本旅行もオンライン販売を強化しており、間際商品だけでなく企画提案型商品も揃え、取扱人数1.3倍増をめざす。また今年はウェビナーでの商品説明会も実施。相互コミュニケーションをはかり、商品企画や販売に活かしていく方針だ。
このほかJTBでは新しい取り組みとして、「ルックJTBアプリ」を開設。観光スポットやレストラン情報を現地のその場で確認できるもので、18都市の情報発信から開始する。